酒場遺産 ▶141 門前仲町 だるま 「美人三姉妹」が切り盛り
住宅新報 2026年7月14日 号 11面
連載: 酒場遺産

久しぶりに門前仲町を訪れた。
富岡八幡宮や深川不動堂の門前町として栄えたこの界隈は、江戸時代から続く下町の風情が色濃く残っている。
かつては「辰巳の芸者」で知られた花街でもあり、寺社の参拝客と娯楽や食の文化が交差しながら発展してきた歴史を持つ。その一角にある「だるま」に入るのは20年ぶりだ。創業1971年。まだ酒場めぐりを始めたばかりの頃、この店はすでに「美人三姉妹」が切り盛りする煮込みの名店として知られていた。
20年後の今日も、姉妹は変わらず店に立っていた。随分と時間は経ったが、相変わらずの美人三姉妹だった。「美人」とは見た目以上にその立ち振る舞いや心の持ち様なのだろう、などと感傷に浸る。
チューハイと煮込みを頼んだ。ここの煮込みは塩気が少なくヘルシーだが、濃厚な味付けは昔と変わらない。壁の品書きを眺めると、当然なのだが随分と値上がりしていた。自家製のぬか漬けや納豆といったものから、焼きそばや焼きうどんまで品数は豊富だ。手作りメンチカツ、あじフライ、厚あげ焼、明太子焼やエイヒレ焼、つくね焼などが並ぶ。
支払いは今も現金のみだ。帰り際、三姉妹長女の直美さんに「20年ぶりに来たんですよ、変わりませんね」と話しかけると、「20年後に来ても、私はいませんよ」と笑う。今日はいい日だ。(似内志朗)






















