対談 営業DX ベルテックス × セールスフォース・ジャパン 情報管理・分析を高度化
住宅新報 2026年7月14日 号 8面
――顧客情報の基盤で。
澤田 「当社は投資用マンションの開発から販売、賃貸管理まで一貫して手掛ける。事業は東京都内を中心に横浜市や川崎市、大阪市、福岡市に広がる。立地や品質にこだわった物件の供給により、現在の入居率は99.5%となっている。一方で以前は、顧客情報や商談履歴を営業担当者ごとに管理していた。営業を経験や勘に頼りがちで、担当者自体は成長しても、各自の知見が組織に残らない課題を抱えていた。19年からの『Salesforce』の導入により、営業活動の可視化と情報共有を進めている」
――組織で情報管理を。
西田 「当社提供の『Salesforce』は、CRMを軸に成長し、今ではAIを組み込んだプラットフォームに進化している。商談内容の文字起こしや要約、次に取るべきアクションの提案までもAIが支援する。システムの導入自体を目的化せず、質の高いデータを蓄積し、組織全体で活用できる状態をつくることで、初めてDXに取り組む価値が生まれる」
AIは企業経営の前提に
――価値を創出する。
澤田 「最も大きな変化は営業に再現性が生まれた。以前は、営業ノウハウが担当者の中だけに蓄積されていた。現在は商談履歴や顧客情報を組織全体で共有している。現場で得た経験を会社全体の資産とし、人材育成や営業品質の向上に役立てている。将来的には用地取得から企画、開発、販売、管理まで一連の情報をデジタルで一元管理し、経営判断にも生かしたい。当初こそ、デジタルに苦手な社員もいた。なぜ、DXに取り組むのかを丁寧に説明した。賃貸管理部門から段階的に運用を広げ、定着化が進んだ」
――定着化を図った。
西田 「DXではツールそのものよりも、企業が目指す姿を、各自や組織で共有する運用の仕組みが重要になる。当社は、その実現に向けたルールづくりやKPI設計までを含めて伴走支援する。データが蓄積されれば、営業プロセスの分析ができる。成功した理由や改善点も見えてくる。結果だけではない。その過程を組織全体で学び、次の営業へ生かすことがDXに取り組む価値となる」
――データで分析する。
澤田 「AIが進化しても、人にしかできない仕事は今後も残り続ける。営業の本質は顧客と向き合い、本当に困っていることや言葉にはならない思いをくみ取ること。AIによる情報の整理やその分析、マネジメントの支援を受ければ、提案や意思決定に一層多くの時間を使える。一人ひとりが更に成長する環境づくりを推進できる。組織全体の営業力が底上げされる」
――成長する環境に。
西田 「人口減少が進む中で、データとAIの活用は、企業経営の前提になりつつある。AIに任せる仕事と、人が価値を発揮する仕事を切り分けられれば、生産性だけでなく、提案力も高められる。DXの目的は、デジタル化そのものではない。人が一層創造的な仕事に時間を使える環境をつくること。その実現に向け、今後も企業の変革を支援していく」 (文中敬称略)
【記者の目】DXの本質はAIやシステムそのものではない。人と組織の成長を支える仕組みづくりにある。データを共有する。経験や知見を組織の資産へ変える発想は、不動産業界全体にも通じる。

























