社説 見直し相次ぐ再開発 公共性が収益 生む仕組みを
住宅新報 2026年7月7日 号 2面
連載: 社説「住宅新報の提言」

建築費の高騰で計画の見直しや工事中断に追いやられる再開発事業が相次いでいる。事業期間の長い大規模案件ほどそのリスクは高い。ディベロッパーは今後どう対応すべきだろうか。
第1の対策は、従来の「より大きく、より高く」という発想からの脱却だ。建築費は「今後も上昇が続く」と言われている今、事業期間の長期化を避けるためにも規模の縮小は必須だ。
第2としては最近の再開発事業で一般化している用途複合化の見直しを挙げたい。オフィスや商業施設、ホテル、住宅が一体開発されるケースが一般化しているが、全ての用途で、今後も安定した需要を確保していける時代は過ぎたのではないか。オフィスワーカーの減少、EC拡大による実店舗運営の難しさなどが指摘されている。
第3は、建築工法の研究だ。最近は既存の杭の再利用や一部既存躯体を活用するなど建築コスト削減のための様々な工法が研究・開発されている。
第4は、行政との連携強化である。公共性の高い事業であれば容積率緩和、補助金、税制優遇などの支援策を行政に求めることができるだろう。これからの再開発は極めて公共性の高いものだけが許される時代に入ったとも言える。
最後は、第1に述べた「拡大志向からの脱却」にとどまらない「未来の不動産業」を見据えた大胆な発想の転換だ。第4の「官民連携」とも関わるが、一企業の視野を超えた高い公共意識が求められる。例えば、これまでの再開発事業でも道路や広場を整備する、地域の防災性を向上させるなど公共性に対する配慮はなされてきた。しかし、これからの再開発に求められるのは、その事業が本当に地域に必要なのかという厳格な検証だ。
再開発には、例えば高層ビルによって日照が遮られる、地元商店街が姿を消し人情味が薄れるなどのデメリットも指摘されている。そうしたマイナス点を補って余りあるメリットが地域にもたらされるものであるかどうかが問われなければならない。
特にこれからの地域社会に求められるのは高齢者住宅の供給、子育て支援、雇用創出、緑の確保、歩行者空間の充実などだろう。開発大手も、近年は単なる「床の創出」ではなく「街づくり」という視点へ移行している。もちろん再開発事業は民間企業が主体である以上、採算性がなければ継続できない。そこで求められるのが公共性と収益性を対立概念としない発想だ。例えば地域に必要な賃貸住宅や高齢者向け住宅を供給し、長期保有で安定収益を得る。あるいは公共空間を整備して街の魅力を高め、その結果として不動産価値が上がる。つまり「公共性が収益を生む仕組み」をどう組み込めるかがこれからの再開発に問われることになる。未来の不動産業は「最大容積率で最大利益を上げる」従来発想から脱却し、地域価値を高める「都市経営思考」だ。


























