「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第103回 関係家賃値上げと物件力の関係
住宅新報 2026年6月30日 号 14面

今回もアットホームによる「定期借家物件」の募集家賃動向(2025年度)をもとに考察していきたい。
「平均募集家賃の推移」(面積帯別・首都圏・定期借家マンション)を見ると、神奈川県のファミリー向き(50~70m2)を除く全エリアの面積帯で募集家賃が上昇している。続いて「賃貸マンションにおける定期借家と普通借家の平均募集家賃と前年度上昇率および差額」(首都圏)では、定期借家で前年度上昇率が二桁増と目立つのは東京23区のシングル向き、カップル向き、東京都下の大型ファミリー向き、神奈川県・埼玉県のシングル向き、埼玉県・千葉県のカップル向きとなっている。上昇率と面積帯における地域別の差は需要と供給の関係を表していると思われる。
たとえば東京都下では70m2超の大型ファミリー向きの上昇率が高いが、昨今の東京23区における新築分譲マンションの売り出し価格が1億円超えの価格上昇で当面賃貸を決め込んだ人たちの流入が考えられる。定借の平均家賃の前年度上昇率は神奈川県のファミリー向きを除く首都圏の全エリアの全面積帯での上昇が確認できる。
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定借は再契約時に家賃の値上げがしやすいのはご存知の通りである。
ただ、再契約時の家賃値上げについては安易に考えすぎないようにしたい。定借では1年以上の契約の場合は、期間満了の1年前から6カ月前までに終了通知を借主に送ることになっている。再契約後の家賃についてはその終了通知の中に新賃料として記載する。つまり「この家賃でよければ再契約しますよ」という貸主の意思を伝えることになる。
しかし、定借終了通知を送ってから実際の終了までは6カ月以上あるので、借主にとっては十分に考える時間があることになる。場合によっては他のより良い条件の物件を探し出し、解約につながることもある。もし、この借主に問題(家賃滞納や迷惑行為)がなく、貸主としては本来ならできるだけ長く借りていただきたいという思いを持っていた場合、家賃値上げからの解約により、優良な借り手を逃してしまうことになる可能性がある。ここを熟慮しての値上げであれば問題はない。
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また、今回の借主が退去しても次にまた良い借主を速やかに見つけられるなら良い。ここが物件力の有無に寄るのである。物件力とは物件の競争力のことで、物件の希少性、他にはない魅力などで、他の物件より優位性が高いということである。
物件力のある物件であれば、借主も家賃値上げに応じざるを得ない。ただ貸主がそこを意識して値上げした場合、借主はそれを見抜いてやはり出ていくことはある。賃貸経営はサービス業でもあることを忘れてはならない。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント。リーシングジャパン代表取締役。






















