古民家宿の物語 日本全国リノベーション 140 森の中の古民家宿小萩野 (下) 焚き火を囲み、語り合う。山の時間を楽しむ
住宅新報 2026年6月30日 号 11面
仲間と手軽に集まれる
中央自動車道・上野原インターから比較的近い立地でありながら、宿の敷地へ一歩入ると深い山の自然が広がる。「東京から90分程度でここまで山深い場所に来られるのが魅力」と感じる利用者も多いという。更に近隣に温泉施設があるのも好印象だ。
宿泊スタイルは非常に自由度が高い。庭でバーベキューを楽しみ、焚き火を囲みながら夜遅くまで語り合う。周囲に民家が少ないため、時間を気にせず過ごせるのも、この宿ならではだ。
「久しぶりに集まる仲間だと、みんな寝ないんですよ。朝4時まで話していたりします」
子供たちの声があふれる
古民家という特性上、他の宿泊客がいると気を遣ってしまうため、現在は完全貸切制を採用している。これによって、小さな子供連れのファミリーでも安心して滞在できるようになった。
夏休みシーズンには子供連れの利用も増える。畑で野菜を収穫したり、小川で遊んだり、夜は花火を楽しんだりと、自然の中で自由に過ごせる体験が人気。都会の住宅街では難しい「大声を出して遊ぶ」ことも、ここではできる。
一方で、山奥で宿を維持する苦労も少なくない。台風が来るたびに、山から引いている水道設備に不具合が生じ、浄化槽の維持費がかかるなど、インフラ管理には手間が付きものだ。それでもオーナーは、「自然の中で暮らすなら、それも含めて付き合うしかない」と語る。
マイペースで継続したい
また、地域との関係については、適度な距離感を保ちながら運営している。集落から少し離れた立地であることもあり、過度な地域活動には参加せず、自分たちのペースを大切にしているという。
「人付き合いも大事だけど、自然体で続けたいんです」
今後についても、大きな拡大を目指しているわけではない。この古民家を維持しながら、自然の中でゆっくり過ごす時間を提供し続けたいという思いが強い。
築150年の古民家を山形から移築し、半世紀をかけて育ててきた宿。そこには、効率や便利さとは異なる、〝山の時間〟が静かに流れていた。
宿=小萩野
住所=山梨県上野原市秋山
ウリ=都市からのアクセスが良くて、自然豊かな環境























