ニュースが分かる! Q&A AX(AIトランスフォーメーション) AIとの協働が競争力に
住宅新報 2026年6月23日 号 24面
連載: ニュースが分かる!Q&A

不動産管理会社A 不動産業界では紙による業務が根強いと言われる。当社も、ようやく内見予約や入居申し込みのデジタル化システム、電子契約の活用が始まった。業務が効率化されるのだろうか。
不動産仲介会社B 不動産業界では、従前業務の効率化や生産性の向上を目的に、各種デジタル化ツールの導入が進んでいる。ただ、書面や表計算ソフトなどを最新ツールに置き換えただけでは、ビジネスモデルそのものを変革するDXとは言わない。単なる業務のデジタル化だ。
A 当社はその段階だな。
B しかし、業務のデジタル化は、DXの前提となる取り組みではある。ただし、のんびりはできない。今や、次の「AIトランスフォーメーション(AX)」の段階に入ったとも言われている。
A 当社はDXの前段階だというのに、AXの段階とは?
B DXがデジタル・トランスフォーメーションなら、AXは、AIを活用して業務や組織を変革する取り組みだ。入居審査などでAIが分析や判断を補助するようになる。
A AIに丸投げなのか。
B いや、最終的な判断は人が担う。不動産業務は、取引額が大きく、更には、顧客の事情や感情を踏まえた対応も求められる。最終判断や交渉は依然、人の役割だろう。
A やはり、業務で人は、まだ必要だな。
B ただ、営業活動や商談履歴などのデータを蓄積しても、現状では十分に活用できていない企業は多い。分析したくても人手が足りない。そこで、AIに分析や示唆出しを任せ、その結果を人が判断するAXが注目されている。
A 具体的にはどのような場面で活用されていくの?
B 既に、家賃査定や空室分析、問い合わせ対応などでAIの活用が始まっている。今後は、業務の〝補助役〟として定着していくだろう。
A 自身の私生活では生成AIに質問し、画像を作ったりもしているが、いよいよ業務でも使うことになるのか。
B そうした段階にある。AI分野に特化した初の法律である『人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律』(通称・AI法)が25年に成立した。また、同年12月には、『人工知能基本計画』が閣議決定されている。
A 日本政府も、いよいよ本腰を入れているわけか。
B そうなんだ。その基本計画では、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を掲げている。不動産業界でもAIを前提として、業務や組織の見直しが進みそうだ。
A AIをテコに日本経済が再浮上するかもしれない。
B そうした期待はあるものの、人手不足が深刻化する中で、AIを使う企業と、使わない企業の差は今後、更に広がる可能性がある。AIの活用が競争力を左右する時代になるのかもしれない。
A なるほど。ただ、AIは、万能ではないだろう。
B その通りだ。誤情報を生成してしまう〝ハルシネーション〟も起こり得る。そこで経済産業省は、4月に『AI利活用における民事責任の解釈適用に関する手引き』を公表した。その中では、不動産取引にも触れている。
A どのような内容だ。
B AIが過去のデータを学習した結果、女性を不当に低く評価した入居審査を行うケースを例示している。こうした判断には、合理的な理由を説明できず、不公平な結果を是正する仕組みがなかったりすると、権利侵害とみなされる可能性があるという。不動産会社には、AIの判断をうのみにせず、偏りの有無を確認した上で、必要に応じて人が再審査する体制が求められる。
A やはり今後も人が介在していくべきなんだな。
B 例えば、AIが誤った査定価格を示した場合でも、責任自体もAIに移るわけではない。利用する事業者には確認・判断する責任が残る。便利だからといって、AIに任せきりにはできない。
A AIを使う側には、責任が伴うわけだな。
B だが、AIに仕事を奪われるかどうかを心配する時代ではない。いかにAIを使いこなし、顧客に新たな価値を提供するのかが問われる時代になった。不動産業界でも人とAIの協働が競争力を左右しそうだ。AXへの対応が本格化するだろうな。






















