第102回「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 定期借家と物件力の関係
住宅新報 2026年6月23日 号 24面

今年もアットホームによる「定期借家物件」の募集家賃動向(2025年度)が公表された。今回のレポートにざっと目を通して感じたのは都心部での定借物件の増加が顕著になってきたということである。それも高額なエリアの高額な物件ほど定借の利用が進んでいる点に注目したい。
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筆者は以前から「定借は物件力のある物件ほど導入しやすく、かつ効果的だ」と説いている。本レポートはこれをある意味裏付ける結果となった。
物件力とは、物件の競争力のことである。競争力とは物件の希少性、他にはない魅力などで、他の物件より優位性が高いということである。
そのような物件は定借にしても客付けに問題はない。したがって、定借導入の一番の障壁である不動産業者の理解が得られやすい。
定借導入に不動産業者が障壁になっていることは周知の事実である。筆者は定借を導入したいが不動産業者が相手にしてくれないというオーナーの嘆きをどれだけ聞いてきたか、数知れない。ただ、先述したように不動産業者もビジネスで考える。 オーナーはそこを考えなければならない。物件力が低い(=競争力がない)物件に定借を導入したところで、客付けできなくなるだけでビジネスにはならない。反対に物件力があれば業者も話を聞くはずである。
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今回のレポートから東京23区の中でも千代田区、港区、渋谷区に至ってはいずれも定借割合が25%以上(50~70m2のマンション)となっている。家賃帯別定借割合(23区・マンション)では高家賃ほど伸びが大きい。特に70m2超(大型ファミリー向き)の高家賃については50%超が定借を採用している。都心の大型ファミリー向け賃貸物件は少ない。総務省の住宅土地統計調査でも東京23区内の70m2以上の賃貸住宅は約9%となっている。都心での大型ファミリー賃貸物件の希少性がわかるだろう。
都心部の大型ファミリーと言えばタワーマンションを始めとした分譲賃貸で、これらは投資の対象となっているものが多い。資産性を守るために不良入居者対策の面を考えたり、インカムゲイン(賃料収入)だけではなくキャピタルゲイン(売却益)も考えると投資家(=オーナー)にとっては計画的に空室にできる定借という選択肢しかない。
不動産業者にとっては希少性の高さから客付けがしやすいのと、売却時の仲介にも関われる可能性があるため定借に否定的になるわけにはいかない。都心部の大手業者は定借の取り扱いが増え、定借に慣れてきている。同エリアの中小業者は定借を断っていると大手に客を取られることになるだろう。
次回は定借と賃料値上げについての内容としたい。これも結局物件力が関わってくる。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント。リーシングジャパン代表取締役。






















