大言小語 太陽は右から?
住宅新報 2026年6月23日 号 1面
連載: 大言小語

ガッツ石松さんが亡くなった。ボクシングの世界王者として知られ、実は「ガッツポーズ」の由来でもあったらしいが、個人的には何といっても「太陽は右から上る」だ。方向オンチとして長らく勝手に親近感を抱いてきたが、ご本人も極度の方向オンチだったようだ。
▼方向感覚といえば、新宿駅周辺がまた大きく変わった。工事のたびに通路が変わり、煩わしいことこの上ないが、小田急百貨店がなくなった違和感に慣れるのは時間がかかりそうだ。一方で、再開発で建物が姿を消しても、「何かなくなったな」とは思うものの、以前の建物をさっぱり思い出せないことも珍しくない。己の記憶のあっけなさには毎回驚くばかりだ。
▼そんな街の変化に気を取られているうちに、気が付けば梅雨を迎え、今年もまた気管支をやられた。子供の頃には二度肺炎になったが、いずれもこの時期だった。咳が続くたびに、自分の体もまた街並みと同じように少しずつ変わっているのだと実感すると共に,若い頃身体の弱い先輩に言われた「年を取ると子供の頃に弱かったところからダメになるよ」という言葉が蘇るのは、皮肉なものだ。
▼「OK牧場」も、本来は西部劇の決着の場だったはず。もっとも、方向を(言葉の意味も含め)間違えて道に迷おうが、人はそれなりに生きていける。少なくともガッツさんは、そう教えてくれている気がする。






















