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プレミアム会員限定古民家宿の物語 日本全国リノベーション 138 森の中の古民家宿 小萩野 (上) 山形の古民家に惚れ込み、山奥に宿をつくる

住宅新報 2026年6月16日 号 11面

連載: 古民家宿の物語 日本全国リノベーション

総合
建物の外観。移築時に屋根は瓦、窓はサッシに変更している

建物の外観。移築時に屋根は瓦、窓はサッシに変更している

若いころ、古民家に惚れて

 この建物との出会いは、およそ50年前にさかのぼる。当時、オーナーは横浜で暮らしていたが、雑誌に掲載されていた「古民家譲ります」という記事に目を留めた。山形県にある大きな古民家で、「解体予定なので、取りに来られるなら有料にて譲る」という内容だったという。約百万円だったとオーナーは当時を振り返った。その他、解体工事費や運搬費、施工費は別である。

 実際に現地へ足を運ぶと、黒光りした太い梁や柱の迫力に圧倒されたそうだ。「昔の家は囲炉裏の煙で燻されているから、木に虫が付きにくい」と語るように、古材の状態も驚くほど良かった。当時はまだ古民家再生という発想が一般的ではなく、周囲からは「わざわざ古い家を移築するのか」と驚かれた時代だった。

山林開拓からの出発

 しかしオーナーは、この建物に強く引かれた。そして、自身の親が所有していた山林を切り開き、ここに古民家を移築することを決意する。

 当時の敷地は現在のような空間ではなく、木々が生い茂る山林だった。道路もなく、人が簡単に入れるような場所ではない。まずは木を切り、重機が入れる道を整備するところから始まった。

 ところで古民家の解体には山形の大工も加わり、一本ずつ丁寧に部材を外していったところ、柱には炭で番号がすでに振られていて、それを頼りに上野原市では地元の大工が再び組み立てていく。昔の木組みは、解体と再建を前提にした構造になっていて、職人の知恵が詰まっている。

ブランクを経て宿が復活

 こうして完成した古民家は、当初は民宿として営業。その後、大手企業の保養所として貸し出される時期もあったが、時代の変化とともに福利厚生需要が減少し、一時は静かな空き家の期間を迎える。

 そして約5年前、オーナー自身が再びこの山へ戻り、「もう一度、この場所を生かしたい」と宿を再開。現在の一棟貸し民泊「小萩野」へと生まれ変わった。「川の音を聞きながら焚き火して、ゆっくり飲む。それだけでいいんですよ」とオーナー。そんな山の時間を楽しむ宿として、小萩野は再び人を迎え入れている。

宿=小萩野

住所=山梨県上野原市秋山

ウリ=都市からのアクセスが良くて、自然豊かな環境

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