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プレミアム会員限定ニュースが分かる! Q&A 国が「フェーズフリー」促進へ本腰 防災を日常へ溶け込ませるために

住宅新報 2026年6月9日 号 14面

連載: ニュースが分かる!Q&A

総合
ニュースが分かる! Q&A 国が「フェーズフリー」促進へ本腰 防災を日常へ溶け込ませるために

 夫 先週の台風はすさまじかったな。被害にあった地域は本当に気の毒だし、できることがあれば支援したいな。

 妻 本当にね。でも、我が家だって他人事ではないのよ。ほとんど日本中で、台風や豪雨の激甚災害リスクはあるんだから。

 夫 もっともだ。水害だけでなく、もちろん大地震も警戒しなければいけないし、火山噴火の危険性も無視できないみたいだからな。

 妻 そうそう。3月には、内閣府が「首都圏における広域降灰対策具体化協議会」を立ち上げて、富士山が噴火した場合の具体的な対策を検討し始めたわね。国は去年にも、防災計画修正やガイドラインで噴火時の対策を示しているけれど、今回公開された降灰のリスク想定を見ると、改めて恐ろしいものよ。

 夫 そうなのか。噴火というと、ちょうど35年前の雲仙普賢岳の印象で火砕流が危険なイメージがあるけれど、降ってくる灰も怖いのか。

 妻 とても広範囲に広がる上に、時間と共に積もってどんどん被害が大きくなっていくのよね。少しの灰でも電車は止まるし、上下水道や通信基地局も機能が低下・停止。雨が降れば3ミリの灰で停電、3センチで道路は二輪車通行不能になって、30センチにもなれば木造住宅は倒壊し始めるわ。

 夫 我が家はつぶれるな。

 妻 つぶれるわね。そうなる前に避難しないとだけど、命に直接の危険がない場合、基本は自宅での生活継続が重要とされているのよね。

 夫 そう考えると、日頃の防災の備えは本当に重要だ。分かってはいるけれど、どうにも難しいなあ。

 妻 そうなのよね。防災用品や備蓄飲食料品にも費用は掛かるし、定期的に確認と交換が必要になるし。

 夫 家具の固定だって、東日本大震災の時に「絶対やろう」と思ったのに、実際には熊本地震の後に慌てて作業したんだよな。

 妻 5年も先延ばしにしてたのよね。でも内閣府の調べだと、やっぱり国民の多くが同じように「必要性は分かっているけれど、具体的な行動には至っていない」らしいわよ。意識こそ昔と比べてある程度高まったけれど、実践の取り組みは頭打ちみたい。

 夫 とはいえ、国が「自助が足りない者は諦めなさい」と言って放置するわけにはいかんだろう。

 妻 当然よね。そういう状況を受けて、ちょうど先週の6月3日、内閣府は有識者会議「フェーズフリー等促進検討会」を立ち上げたの。

 夫 フェーズフリー? 耳慣れない言葉だな。

 妻 「日常」と「災害時」という「境界を取り払う」と説明されているわね。つまり、身の回りのモノやサービスを、日常だけでなく非常時にも役立つようにデザインするという考え方かしら。

 夫 「フェーズ」はビジネスだと、段階や局面といった意味で使うけれど、この場合は「境界」や「区切り」という意味なのか。わざわざ日常と防災を分けて考えないという事なんだろうけれど、具体的にどういうことだろう。

 妻 内閣府の事例だと例えば、災害時の使用にも耐える防水・耐久・グリップ性と普段使い用デザインを兼ね備えた靴とか。建築物の場合、給排水再利用システムやコージェネレーションシステムは、日常・非常時を問わず安定的なライフライン維持につながるとされているわ。

 夫 なるほど、「かまどベンチ」のような「デュアルユース」とも違うのだな。しかし、どうもスムーズには理解しにくいように思うよ。

 妻 そうよね。だから新しい有識者会議では、この「防災を日常に溶け込ませる」という目標を社会的に位置付けると同時に、そのためにも用語の定義や範囲の明確化、概念の標準化を図る必要があるという考えを示しているわね。今後は、その具体化に向けた方策を議論して、10月頃に提言を取りまとめた後、国として「アクションプラン等」を作成する予定ね。

 夫 確かに、無理にあれこれ災害対策をしなくても、日常生活の中で自然に備えられる社会になれば心強いな。

 妻 といっても、この家はさすがに、耐震改修はしないといけないのよね。

 夫 築46年の旧耐震とはいえ、このご時世に庶民が「高性能住宅に建て替えて自然に災害対策」というのは、さすがに無理があるものな。

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