ニュースが分かる! Q&A 「残価設定型住宅ローン」とは? リバースモーゲージとの組み合わせ
住宅新報 2026年6月2日 号 14面
連載: ニュースが分かる!Q&A

先輩記者 住宅金融支援機構が「特定残価設定ローン保険」を始めたね。残価設定型住宅ローン(以下、残価設定型)とはどういうもの?。
後輩記者 住宅価格の高騰でローンの借入額が膨らんでいるので、なんとかして毎月の返済額を減らしたいというニーズが強まっています。そのために40年、50年ローンなど借入期間の長い商品が出てきています。残価設定型は一部その考え方も取り入れていますが、その基本的仕組みは借入額の一部(例えば2~3割程度)は〝返さないでおく〟というものです。
先輩 そんなわけにはいかないと思うが。
後輩 もちろん永遠に返さないということではなく、最終的には物件を売却して返済するということです。
先輩 リバースモーゲージに似ているね。
後輩 そうです。残価設定型は通常のローンとリバースモーゲージとの組み合わせ商品です。通常のリバースモーゲージは高齢者などが自宅を担保にお金を借りて、返済は利息だけにしておいて元金は死亡後に物件を売却して返済します。融資するほうはそのときに物件の売却価値が下がっていると損失が発生しますから、慎重に担保価値を見込んで融資することになります。
先輩 仮に物件の売却価格が融資額を下回っても、その差額は請求しないノンリコースローンということだよね。
後輩 その通りです。残価設定型は当初から、将来リバースモーゲージにもっていく部分を決めておくローンとなります。具体的には元金を据え置かない通常の元利返済ローン(例えば借入額の7~8割程度)の返済が完了(例えば35年後)した時点で、残されている元金部分がリバースモーゲージに移行します。据え置いてきた元金部分の利息はこれまでも払ってきたし、35年以降も利息のみ払っていくことになります。
先輩 なるほど。
後輩 全額を元利均等払いにする通常のローンに比べれば当初から35年間は当然返済負担が軽くなるので、子育て費用などがかさむ期間の生活が楽になります。通常のローン返済が完了する35年後は夫婦だけの生活に戻っていることも予想されるので、残っている元金の利息だけを返しながら暮らしていこうというわけです。まさに〝人生100年時代〟にふさわしいローンと言えます。
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先輩 しかし、通常のリバースモーゲージは高齢者が自宅を担保に借り入れるので、死亡するまでの期間はせいぜい20年程度だと思うけど、残価設定型は若い時からだから35年+20年としても55年も先の担保価値を見なければならないよね。
後輩 そこが残価設定型の最大のポイントで、同時に社会的意義をもったローンということにもなります。残価設定型の対象になるのは長期優良住宅、管理計画認定マンションまたは予備認定マンションに限られます。つまり長期にわたって資産価値が維持される仕組みを持った住宅にしか適用されません。残価設定型が普及するということはそうした良質な住宅が増えることを意味します。
先輩 日本の住宅市場が本格的ストック時代に向かう契機になる可能性があるということか。
後輩 そうです。業界としても販売する住宅の将来価値にある程度は責任を持たなければならない、持つべきだという意識が生まれるのではないでしょうか。
先輩 その住宅の将来価値に大きく関与するようになるのは、不動産業界というよりはむしろ残価設定型を提供する金融機関になるのでは。
後輩 その通りです。残価設定型は通常の元利返済ローンと、将来はリバースモーゲージに移行する元金据え置きローンとの組み合わせだと言いましたが、総借入額の何割を元金据え置きとするかを決めるのは金融機関ですから。仮に元利返済ローンの期間を35年とすれば35年目以降の担保価値を予測するのは金融機関となります。
先輩 基準はあるの?
後輩 金融機関が事前に住宅金融支援機構と結ぶ「特定残価設定ローン保険」によると、融資額は金融機関が定める担保評価額(土地+建物)に担保掛け目30%を乗じた額以下で、更に戸建ての場合は土地の担保評価額に担保掛け目60%を乗じた額以下などとしています。結局は金融機関次第です。
先輩 住宅市場が従来以上に金融主導になっていく予感がするね。






















