不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編100 ~畑中学 取引実践ポイント~ 一定年数超え戸建ては古家付き土地売り 「築古化の進捗に対応する」
住宅新報 2026年6月2日 号 14面

首都圏に限ってだが、売買物件の築古化が急激に進んでいる。現状況から見て、その傾向はより進むに違いない。不動産取引を行う者にとって、築古不動産に対する最低限の知識、対応がより不可欠な状況になりつつあるため、初心者はその準備のピッチを上げていきたい。また、顧客にもそのように案内をしていくのが最善だ。
◎ ◎ ◎
公益財団法人東日本不動産流通機構は2025年に「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」(以下、築古化データとする)を発表した。25年における販売新規登録で、中古戸建ての平均築年数は25.86年、中古マンションは30.08年であった。11年前である2014年の平均築年数は、中古戸建ては21.03年、中古マンションは21.77年であった。11年間の築年数の伸び率は中古戸建てで+(プラス)4.83年、中古マンションで+8.31年となる。
注目したいのは、中古戸建てだ。中古マンションと異なり、築年数が一定年数(筆者は30年以上と考える)を超えると、解体され更地で売り出されたり、古家付きとして土地売りになる。そのため、データ上では、中古戸建ての築古化は進捗しにくい、と考えられるからだ。
その証拠として、築古化データでは、19年は22.71年と、14年からは6年間で+1.68年の伸びしかない。それが、19年から25年の7年間で+3.15年の伸びとなる。数字上は倍近い伸び率と言える。静かに築古化が進んでいるのだ。
◎ ◎ ◎
こうなる理由は2つ考えられる。1つ目は、建築費の高騰、工期不透明が考えられるだろう。建築が不可欠な土地としての売却よりも、築年数が経った建物でも住めるのであれば、そちらの方が売れ易いという判断だ。2つ目は、住み替えによる、良質な築浅住宅が市場に出ないことだ。自宅を高く売却できても、住み替え先も価格は高く、かつ、金利は現在の金利よりも高くなるため、収支はマイナスになりやすい。これでは「今の自宅に不満がないのなら、あえて住み替えをせず、そのまま住んでおこう」と考えても当然だ。この2点から、販売新規登録の築年数は、上がり続けているのだと考えられる。
結果、成約登録も14年は中古戸建てで20.48年、中古マンションは19.63年であったのに、25年は中古戸建てで24.37年(+3.89)、中古マンションで26.58年(+6.95)と上がっている。古くても当たり前になっている。
金利上昇や建築費高騰、工期不透明等が続くのであれば、この販売物件の築古化の傾向は続くだろう。不動産取引や融資対応について知識、対応、そして心構えは早めに準備をしておきたい。
◇ ◆ ◇
【プロフィール】
はたなか・おさむ 不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。






















