第101回「令和時代の賃貸ビジネス」~コンサルタント沖野元の視点~ 小さな乱れやルール違反を見逃さないこと
住宅新報 2026年5月26日 号 12面

前回は築古アパートのオーナーから「属性の良くない入居者が入る」という相談を受けたことについて、「割れ窓理論」の観点から説明した。「割れ窓理論」とは、軽微なルール違反や小さな乱れをそのまま放置すると、大きな犯罪を招くという犯罪心理学の理論である。
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では、「割れ窓理論」を賃貸経営にどのように応用すればよいのか。
賃貸経営における「軽微なルール違反」や「小さな乱れ」にすみやかに対処することである。たとえば「小さな乱れ」の代表的なものはゴミや汚れがあげられる。これは清掃で対処するのだが、問題はその頻度である。物件の規模にもよるが、筆者の管理物件では総戸数10戸程度の建物であれば基本週2回の清掃を入れている。清掃箇所は細かく指示しており、清掃後の写真撮影による報告も依頼している。共用部の照明の電球切れも報告項目があり、速やかに対処できる。
「軽微なルール違反」では、共用廊下へ私物を置くことや放置自転車、ゴミ出しなどがある。よくあるのが傘を廊下に出すケース。これをされてしまうと乱れと汚れが同時に発生する事態になる。傘から滴る水が何らかの汚れと混ざり、廊下にシミを作ると取れにくくなる。筆者の管理物件では入居時にこれを厳禁として説明している。
放置自転車については、自転車ステッカーや自転車置き場の特定により対処している。これにより自転車の特定が容易になり対処しやすくなる。ゴミ出しは新しい入居者があった場合に契約書への明記入居時の説明、ルールが守られなかった場合の掲示板での周知などの対応があげられる。
これらの対処により建物が整然とし、清潔感を保つことができると入居者のマナーも守られるようになる。筆者の経験から更に付け加えるなら防犯カメラの設置は有効である。ただ、築古アパートで使える予算も限られているということであれば、追加コストのかからない定期借家契約によるリスクヘッジをお勧めしたい。定期借家契約は建て替え予定やオーナーの利用予定がある物件だけが利用するものではなく、不良入居者対策での利用も広まっている。募集時の段階でポータルサイトに「定期借家」という表示がある場合に、何らかの悪意を持った人間は入居を避けることが考えられる。
また、定期借家契約とは「ルールを守れない人にルールを守らせる契約」であると言い換えることもできる。ルールを守れない入居者には再契約をせずに期間満了で退去させることができる。これによりトラブルの長期化が防げる。
これらの対応が先のオーナーからの相談である「属性の良くない入居者の入居をどのように防ぐか」という点につながる。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















