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プレミアム会員限定ニュースが分かる! Q&A 不動産小口化商品、相続税対策の転機 節税から投資で選ぶ時代へ

住宅新報 2026年5月26日 号 12面

連載: ニュースが分かる!Q&A

総合
ニュースが分かる! Q&A 不動産小口化商品、相続税対策の転機 節税から投資で選ぶ時代へ

 個人投資家 不動産小口化商品は、相続税対策になると聞いて関心を持っていました。そもそも、なぜ相続対策として人気があったのでしょうか。

 税理士 大きな理由は、現金で持つよりも相続税評価額が低くなりやすかったからです。不動産小口化商品は、都心のオフィスビルや商業施設などに少額から投資でき、賃料収入の分配も期待できます。実物不動産を一棟買うには多額の資金が必要ですが、小口化商品なら個人でも参加しやすい。管理の手間が比較的少なく、資産承継を考える層に広がりました。

 個人投資家 つまり、運用収益を得ながら、相続税評価も下げられる商品だったということですね。

 税理士 そうです。ただし、その前提が変わろうとしています。国税庁は、取得価額と相続・贈与時の税務評価額に大きな差がある事例を問題視しています。たとえば、3000万円で取得した商品が贈与時には大幅に低い評価となり、その後、取得価額に近い水準で現金化されたケースが示されています。税務当局から見れば、実質的な価値は高いのに、税務上だけ低く評価されることで課税の公平性が損なわれる、ということです。

 個人投資家 今後は、どのように変わるのでしょうか。

 税理士 「令和8年度税制改正大綱」では、相続・贈与の直前5年以内に取得した不動産について、市場価格、つまり時価に近い評価を用いる方向が示されています。

 不動産小口化商品については、取得時期にかかわらず、処分価格、買い取り価格、売買実例価額、定期報告書に記載された不動産価格などを参考に、「通常の取引価額」で評価する方向です。適用は27年1月1日以後の相続・贈与からとされています。

 個人投資家 では、小口化商品は投資商品としての魅力も落ちるのでしょうか。

 税理士 「節税効果込みで見た魅力」は落ちる可能性があります。これまでは、分配利回りがそれほど高くなくても、相続税評価が大きく下がるなら総合的に魅力があると判断されることがありました。しかし評価が時価に近づけば、その上乗せメリットは小さくなります。一方で、商品そのものの投資価値がなくなるわけではありません。立地が良く、賃料収入が安定し、運営会社の管理力や出口戦略が明確であれば、引き続き投資対象になり得ます。

 個人投資家 見るべきポイントが、税務から投資の中身に移るということですね。

 税理士 その通りです。今後は「相続税評価が下がるから買う」では不十分です。物件の立地、稼働率、テナントの信用力、修繕リスク、運営報酬や信託報酬、売却時手数料などを差し引いた実質利回りを確認する必要があります。また、いざ売却したいときに、誰が、いつ、いくらで買い取るのか。市場で売れるのか、運営会社の買い取りに依存するのかも重要です。

 個人投資家 制度改正前に購入すれば、まだ節税効果を得られるのでしょうか。

 税理士 安易な駆け込み購入は避けるべきでしょう。改正前であっても、短期間で購入、贈与、売却を行い、評価差だけを狙うような取引は税務上問題視される可能性があります。「今なら間に合う」「節税効果が大きい」という説明だけで判断するのは危険です。販売会社の説明だけでなく、税理士など第三者の専門家に確認してください。

 個人投資家 それでも、相続対策として使う意味は残りますか。

 税理士 もちろん、残ります。ただし、目的は変わります。相続対策は税額を下げることだけではありません。資産を分けやすくする、相続人の管理負担を減らす、公平に承継しやすくする、といった役割もあります。不動産小口化商品は実物不動産より分割しやすく、複数の相続人に配分しやすい面があります。

 個人投資家 最後に、購入を検討する投資家への助言をお願いします。

 税理士 これからは、不動産小口化商品を「節税商品」としてではなく、通常の投資商品として選別する時代になります。税制が変わっても保有する意味があるか。分配金、リスク、手数料、出口戦略を冷静に比較すべきです。節税効果に頼らず、収益性と透明性で判断できる商品だけが、今後も投資家に選ばれるでしょう。

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