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スタンダード会員限定東京都心5区オフィスマーケット 焦点は空室率から賃料へ 大手決算が映す貸主優位の回復

住宅新報 2026年5月26日 号 3面

総合
東京都心5区オフィスマーケット 焦点は空室率から賃料へ 大手決算が映す貸主優位の回復

 東京都心のオフィス市場が新たな局面に入りつつある。コロナ禍後に積み上がった空室の消化がこれまでの主題だったが、足元では空室率の低下にとどまらず、賃料をどこまで引き上げられるかに関心が移っている。

 三鬼商事によれば、2026年4月時点の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は2.20%と、前年同月の3.73%から大幅に低下した。平均賃料は坪2万2454円で、前年同月比8.19%上昇した。26年度の都心5区は、空室率低下を軸とする回復から、賃料上昇を伴う回復へと重心が移る可能性が高い。

 この変化を裏付けるのが、大手不動産会社の26年3月期決算だ。各社はいずれも堅調な業績を示し、オフィス賃貸事業の改善が収益を押し上げた。三井不動産は賃貸セグメントで、国内外オフィスの賃貸収益・利益の伸びを増益要因に挙げた。27年3月期も、国内外オフィスの賃料増加を見込む。三菱地所も丸の内事業で新規リーシングや既存ビルの賃料改定が堅調に推移した。丸の内エリアの期末時点のオフィス空室率は0.55%まで低下した。都心一等地では、空室率の改善余地よりも、賃料改定の余地が市場の焦点になりつつある。

 住友不動産は、東京オフィスを中心とする不動産賃貸事業が過去最高益を更新した。既存ビルの空室率は前期末の5.8%から4.3%へ改善し、今期は3%台が確実視されている。

 また、非上場の森ビルも同様の傾向を示す。オフィス稼働率は96%と高水準を維持した。麻布台ヒルズや虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの賃貸収益増に加え、賃料の増額改定も寄与し、26年3月期は過去最高益を更新した。

 各社に共通するのは、稼働率の改善と賃料改定が同時に進んでいる点だ。三菱地所の丸の内、住友不動産の大型ビル、三井不動産の都心旗艦物件など好立地で大規模、高スペックの物件では、貸主側の交渉力が再び強まりやすい。

 ただ、全ての物件が同じ恩恵を受けるわけではない。新築ビルの空室率は、なお12.11%と、既存ビルの2.02%を大きく上回る。供給直後の大型ビルでは、空室消化に一定の時間差が残る。

 今後の焦点は、新築・築浅の大型ビルがどの賃料水準でテナントを確保できるかだ。高水準の賃料を維持したまま空室を消化できれば、市況回復の持続性は一段と強まる。景気後退で賃料調整が広がれば回復には濃淡が生じる。

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