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プレミアム会員限定ニュースが分かる! Q&A 建築費高騰下で再評価される築古 半分逆風も再定義でリノベ成長戦略に

住宅新報 2026年5月19日 号 12面

連載: ニュースが分かる!Q&A

総合
ニュースが分かる! Q&A 建築費高騰下で再評価される築古 半分逆風も再定義でリノベ成長戦略に

 記者 建築費の高騰で、新築開発を取り巻く環境が厳しく、築古不動産のリノベーションが注目されています。

 不動産会社 新築すれば収益が上がる、という単純な時代ではなくなりました。建築費の高騰、人手不足、工期の長期化、用地取得難が重なり、都心では新規開発の採算が取りにくくなっています。そこで、既存建物をどう生かすかが重要になっています。

 記者 単なる老朽化対策ではない、ということですね。

 不動産会社 そう。古い建物をきれいにするだけでは不十分です。既存建物をどう読み替え、どんな利用者に向けて価値を再設計するか。そこに投資妙味があります。

 記者 最近の事例としては東京ガス不動産の「Fuu Oimachi by LATIERRA」が象徴的です。

 不動産会社 1991年竣工の建物を一棟フルリノベーションした賃貸レジデンスですね。大井町駅から徒歩7~8分という立地を生かし、1階全体を共用施設化しました。リビングラウンジ、ジム、シアタールーム、プライベートスタジオなどを備え、「もう一つの自分の部屋」を持つ暮らしを提案しています。

 記者 専有部の広さだけでなく、建物全体の使い方で価値を高めるわけですね。

 不動産会社 都市生活者は、狭さを我慢する代わりに、建物内に使える余白や機能を求めています。共用部やサービスを組み合わせることで、賃料水準や入居率の向上を狙う発想ですね。

 記者 オフィスでも同じ流れがありますか。

 不動産会社 あります。JR西日本不動産開発とリノベるが手掛けた「JRWD錦糸町タワー」では、築31年のオフィスビルで約80坪の空き区画を共用ラウンジに改修しました。入居テナントにヒアリングし、休憩、一人で集中できる場所、大人数が集まれる場所といったニーズを把握した上で整備しています。

 記者 空室を貸すのではなくビル全体の価値を上げた。

 不動産会社 企業は単に執務面積を借りるだけではなく、社員が出社したくなる環境を求めています。築古ビルが新築と設備仕様だけで競うのは難しい。だからこそ、既存ストックならではの空間を再編集力が問われます。

 記者 店舗リノベーションでは、街づくりとの関係も強くなりますね。

 不動産会社 安田不動産の日本橋浜町の計画が好例でしょう。築69年の木造民家をリノベーションし、タルト専門店を誘致する計画です。規模は小さいものの、魅力ある路面店が増えれば来街者が増え、周辺物件の評価やエリアのブランド力向上につながります。リノベは建物の再生であると同時に、街を再興し直すことでもあります。

 記者 建築費高騰はリノベーションにとって追い風なのでしょうか。

 不動産会社 半分は追い風で、半分は逆風。新築コストが上がれば、既存建物を活用する優位性は高まります。一方で、リノベーションも内装材、設備、空調、電気、給排水、防水、耐震、法規対応などの費用上昇を避けられません。築古物件では、工事後に想定外の劣化や不具合が見つかることもあります。

 記者 おしゃれにすればよい、という話でもない。

 不動産会社 見た目の刷新と収益改善を混同してはいけません。賃料上昇、稼働率改善、退去抑制、運営コスト削減につながらなければ、投資回収は難しい。改修後の賃料、空室期間、共用部による専有面積減少の補完、管理コスト、大規模修繕費まで数字で検証する必要があります。

 記者 成功のカギは?

 不動産会社 明確な利用者像でしょう。住まいなら都市生活者、オフィスならワーカー、店舗なら地域の文脈に合う来街者。誰に、どんな体験を提供し、その対価をどう得るのかを設計することが収益性を生みます。これからのリノベーションは、建築工事だけでなく、マーケット分析、運営計画、ブランディング、地域戦略を含む総合的な不動産ビジネスです。

 記者 今後の市場は。

 不動産会社 既存ストックを活用した収益改善のニーズは広がるでしょう。ただし、これから伸びるのは安く買って表面的に改装する事業者ではなく、建物診断から運営設計、エリア価値向上まで一体で組み立てられる事業者です。リノベは、既存不動産を今の暮らし方、働き方、街の使われ方に合わせて再定義する成長戦略になっています。

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