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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編260 共有の業務用ビルは持分の過半数でも貸せる?

住宅新報 2026年5月19日 号 11面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編260 共有の業務用ビルは持分の過半数でも貸せる?

Q.前回の記述によれば、共有の不動産を賃貸する場合、それが借地借家法の適用を受ける賃貸借である場合には、共有者全員の同意が必要であるということでしたが、それは全ての物件に言えることなのでしょうか。

A.いいえ。例えば、共有の不動産が業務用の賃貸ビルであるような場合には、必ずしもそのようなことにはなりません。なぜならば、業務用の賃貸ビルの場合には、そのような問題があることを前提に、あらかじめ特定の共有者あるいは管理業者にそのビルの管理運営を委ねることがあるからです。

Q.具体的にはどのようなケースなのでしょうか。

A.例えば、もともとの大地主が共有ビルの持分の過半数を所有し、それ以外の小地主がそれぞれの持分を大地主に賃貸した上で、大地主がそれらの持分を一括転貸するケースです。

Q.なぜそのようなやり方ができるのでしょうか。

A.そのような事業形態は、大地主以外の地主にとっても、その転貸が自分達の利益にもなるということで共同事業を行うわけですから、その過程で大地主が既存のテナントとの契約を解除したり、新たなテナントとの賃貸借契約を締結したとしても、その結果については、他の共有者も自己の持分権に基づいて求償権を行使できるわけですから、管理行為(民法252条)として必ずしも不利益になるわけではないからです(東京地判平成14年11月25日)。

Q.そのような事業形態をとれば、大地主の行為がその事業目的に反しない限り、「管理行為」として認められるのですね。

A.そういうことです。したがって、共同事業者がそれぞれの持分権に基づいて個別に賃貸借契約を締結したいのであれば、最初の業務提携の段階でそのようないわゆる「個別契約方式」を採用すればよいわけです(東京高判平成14年1月30日)。そうすれば、その共有ビル全体の賃料収益と個別の賃料収益が別勘定になりますので、その場合、建物全体の共用部の維持管理をどのように行うか、その費用をどのように分担し合うかという問題だけが残るからです。つまり、その共有ビルが「区分所有ビル」であれば、そのような「個別契約方式」も可能になるということです。

渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男

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