彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇224 北澤商事70周年の集い 100年企業へ前進 感動の親子3代リレー
住宅新報 2026年5月12日 号 15面
連載: 彼方の空
東京足立区を地盤とする北澤商事の創業者である北澤艶子氏の創業70周年を祝う会が4月19日、明治記念館で行われた。会場となった「富士の間」には40もの丸テーブルが並び、約400人の来賓が集う盛大な宴となった。宴は元国交大臣の太田昭宏氏らによる来賓祝辞、主催者挨拶、鏡開き、サンユー不動産会長の品田守敏氏による乾杯が行われ祝宴へと続いた。
様々な祝辞に共通していたのは、〝企業寿命30年〟(30年後の存続率は数%)と言われる中、70年というその2倍を超える年月を経て今なお現役を続ける北澤艶子氏への敬愛の念である。
アトラクションにはウクライナ出身の歌手でバンドゥーラ演奏家でもあるナターシャ・グジー氏、シャンソン歌手の白木裕子氏が登壇。白木氏は北澤艶子の歌の師匠でもあり、同氏のピアノ演奏でこの日主役の艶子氏が持ち歌2曲を披露、その艶と伸びのある歌声に聴衆は驚愕し感動した。なぜなら、彼女は常々「不動産業にはハートが大切」と語っているが、その歌声にも人としてのやさしいハート(心)がこもっていたからである。
そして会の終盤、この日、新社長に就任した北澤龍一氏(艶子氏の孫、38歳)が新任の挨拶を述べると会場から万雷の拍手が沸き起こり、宴は最高の盛り上がりを見せた。
龍一氏のスピーチは、会長、社長、専務である祖母と両親の「信用第一」を守り通す仕事のやり方を見ているうちに「いつかはこの仕事を継ぎたいと思うようになった」という述懐から始まり、今後100年企業を目指すうえで成し遂げたい3つの目標を示した。一つはこれからも物件のオーナーから選ばれ続ける会社であること、二つ目は社員に対して常に誠実で、その努力に報いて利益を還元する会社であること、三つ目は地域の人たちから愛され続ける会社であること、そのためにも地域の行事に積極的に参加していくことを宣言した。
最後に「そこは決して平たんな道ではなく思い悩むこともあると思うが、その時は今日という日を思い出し、自らを奮い立たせていきたい」と語った。
若い新社長に対する激励とその堂々としたスピーチに感激して鳴りやまぬ拍手を聞きながら、筆者は親子3代のリレーをこれほど新鮮に感じること自体に感動していた。事実、龍一氏はあいさつの結びにこう語ったのである。
「2代目からのバトンの全てを受け取ります」と――。




























