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プレミアム会員限定暗号資産での不動産取引 マネロン対策徹底を業界に要請 金融庁、国交省など4省庁連名で通知

住宅新報 2026年5月12日 号 3面

政策
暗号資産での不動産取引 マネロン対策徹底を業界に要請 金融庁、国交省など4省庁連名で通知

 暗号資産は決済手段としての利便性が高く、特に国際間取引において迅速で使いやすいという特徴がある。他方、不動産は基本的に高額であり、犯罪組織等にマネロン目的で取引される危険性が高い。国はこれら双方の性質から、暗号資産はマネロン等を目的とした不動産取引の決済方法として「利用される危険性が高い」と判断。暗号資産及び不動産業界、マネロンの取り締まりをそれぞれ所管する4省庁が、連名で今回の通知を発出したという経緯だ。

 要請の対象は、全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、不動産協会、不動産流通経営協会、全国住宅産業協会、不動産流通推進センター、日本暗号資産等取引業協会の計7団体。不動産の流通及び開発関連団体に加え、暗号資産業界団体にも対応を求めている。

「疑わしい取引」届け出を

 不動産事業者に対する主な要請項目は2点。各項目について、各団体の会員各社に対し周知するよう求めている。

 一つ目は、暗号資産から円など法定通貨への交換を適法に行うこと。要請文では、暗号資産から法定通貨への交換及びその媒介は暗号資産交換業に該当する可能性があり、これを無登録で行うと資金決済法に違反する恐れがあることへの留意を促す。そこで、無登録業者を利用しないことや、無登録が疑われる事業者を発見した場合の警察当局への情報提供を求めた。

 二つ目は、宅建業者が暗号資産を用いた不動産取引を行う場合に、犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づき、取引時確認の厳格な実施と疑わしい取引の届け出を行うこと。併せて、事件性が疑われる場合は、警察当局への適切な通報を行うことも呼び掛けた。

 このほか、暗号資産交換業者に対しても、暗号資産による不動産売買で不審な点がある場合の取引時確認や、疑わしい取引の届け出、適切な通報を求めている。

 要請文では併せて、外為法(外国為替及び外国貿易法)の規定にも触れている。非居住者が国内の不動産等を取得した場合や、海外から3000万円超相当の暗号資産を受領した者については、それぞれ報告書の提出義務があるため対応と周知を求めた。特に、非居住者による26年4月1日以降の不動産取得は、取得目的を問わず報告対象となっている点を明記し、意識するよう促した。

 片山さつき財務大臣は4月28日の閣議後定例会見で、今回の要請について言及。「(要請文の内容は)暗号資産を用いた不動産取引の実態把握や、健全性を確保するための対応。金融庁、財務省としては、マネロン防止などの観点から、関係省庁と連携して引き続き適切に対応していく」との方針を述べている。

予防的対策で注意喚起

 暗号資産による不動産売買等は、比較的新しい取引の形のため、実務現場ではその適法性やリスク等を判断しにくいと想定される。不動産業界団体と国交省が協力して制作した「宅地建物取引業における犯罪収益移転防止のためのハンドブック」の「疑わしい取引の届出に係るチェックリスト」を見ても、暗号資産について明記した項目はない。

 そこで、同省不動産・建設経済局不動産業指導室は、「『暗号資産』を、同チェックリストで示している参考事例の、『多額の現金(により、宅地または建物を購入しようとしている)』に準ずるものと捉えてもらえれば」と説明する。同参考事例そのものについても、今秋を目安に改定を図る動きがあるという。

 とはいえ、不動産取引の決済手段として、暗号資産が用いられるケースはどれだけあるのか。また、実際にマネロン事例やトラブル事例等が顕在化しているのか。この点について、同指導室は現状、「決済手段としての利用は、ゼロではないものの非常に少ないと認識」しており、顕著な悪用事案等も確認されていないと述べる。暗号資産の発展を踏まえ、予防的な対策として業界への注意喚起を行った意味合いが強いようだ。

 一方で、宅建事業者による「疑わしい取引の届出」件数の実績は低水準にとどまっており、同省は業界団体に対し、25年6月の通知等で積極的な届け出を要請している。同省は併せて、「リスク評価書」作成の要請やマニュアル策定による支援等も行っていることも踏まえ、今回の要請も、犯収法に基づく対策の強化へ向けた動きの一環と位置付けられそうだ。

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