60歳からの住宅ローン【リ・バース60】累計申請件数1万件突破

様々な不動産情報が盛り沢山!

社説 増え始めた定期借家 トラブル防ぐ慎重な対応を

住宅新報 2026年5月12日 号 2面

連載: 社説「住宅新報の提言」

政策
社説 増え始めた定期借家 トラブル防ぐ慎重な対応を

 都市部を中心に賃貸住宅市場で定期借家権契約が増え始めた。大手物件情報サイトによると、東京都内の定期借家の掲載物件シェアは、これまで5%台で推移していたものが24年には7%に、25年には9.3%へと、ここ2年で急増している。東京23区では既に9.5%、渋谷区では18.1%で2割に迫る勢いだ。そこには、家賃の上昇傾向が続く中、賃料の値上げ交渉をしやすくしたいという家主側の思惑が働いている。しかし一般の借主の定期借家権に対する理解がほとんど進んでいない現状では、その拙速な導入は借主とのトラブル増加に直結しかねない。仲介会社や管理会社などの事業者には慎重な対応を求めたい。

 定期借家権は契約期間が終了すると確実に賃貸借契約が終了し、貸主・借主が合意した場合にのみ再契約が行われる。貸主は借主が再契約を望むのであれば、賃料の値上げを条件にすることができるため、定借は貸主にとっては有利と見られている。しかし常識的に考えれば法外な値上げ要求をして退去され、空室が続いてしまったら元も子もない。値上げを要求するにしても自ずと常識(周辺相場)の範囲内になるというのが定期借家に対する正しい認識となる。

 戦時中に導入された正当事由制度がいまだに残されている普通借家に対し、定期借家は賃貸住宅市場を近代的で合理的な市場に変革していくことを目的に00年3月に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」によって創設された。その意味でも事業者は、定期借家は貸主・借主にとって対等なもので双方にメリットがある制度だということを理解し、両者に示す必要がある。

 まず、貸主は従来の普通借家権のように正当事由がない限り契約が更新されるという不合理な立場から脱却できる。建て替え準備など一定の期日までに借家人を退去させる必要があるときは、期日に合わせた契約期間にしておくことができる。不良入居者の居座りを防止できるメリットも大きい。

 借主にとっては例えば契約期間を2年以上の長期にすることで(子供の小学校卒業までなど)、その間の賃料固定交渉が可能になる。定期借家では期間中の賃料を特約で固定することができるからだ。もちろん不良入居者がいない住宅に住めるメリットも大きい。また、需要の強い物件で特に導入が広がる可能性があるため、良質な物件を求めていて、しかも賃料負担力のあるパワーカップルなどの高所得世帯にとっては歓迎だろう。事実、ある業界関係者はこう指摘する。「定期借家は良質な賃貸住宅に住むための対価となっていくのかもしれない」。

 定期借家の本格普及は先のことにはなるだろうが、長いデフレ期を脱して家賃も物価に連動する時代の始まりが予感される今こそ、まずは事業者の定期借家に対する正しい認識が求められている。

求む!買取物件 価値ある中古不動産の売買はムゲンエステート住宅新報別冊 不動産テック.BIZ Vol.14 最新号発行 不動産×ITの最新トレンドをお届け会員会社(賛助会員を含む)のプレスリリースを一元的に集約・掲載する情報発信サイト マンション管理プレスリリースセンター

関連サービス