大言小語 仕事の本質
住宅新報 2026年5月12日 号 1面
連載: 大言小語

コロナ禍で根づいたリモートワークは米国でオフィス需要を冷まし、そこへ人工知能(AI)という波が押し寄せている。働き手が職場に戻らないだけでなく、そもそも人が要らなくなるかもしれない。そんな不安が空室に影を落とす。Jリートの取材先での余談だが、米国の流行は十年遅れて日本に届くとも言われ、AIによる雇用の縮小がオフィス市場を揺らす可能性は小さくない。
▼ホワイトカラーよりもブルーカラーが生き残る。建設・不動産業界の現場を見ると、職人の賃金が上昇している。コロナ過では、医療関係者に限らず清掃事業者や物流事業者、介護士などの仕事が社会を支える重みを知った。にもかかわらず、そうした仕事が十分に報われずAIに置き換わりやすいオフィスワーカーが賃上げの恩恵を受けてきた現実に釈然としないとの声も届く。コロナ過が気づかせたのは、本当に必要な仕事に携わっている人に十分な賃金が支払われずAIに取って代わられる可能性の高い職種が恩恵を主に受けてきたことの違和感である。
▼国会議員や官僚、公務員、そして民間企業の事務職も例外ではない。記者も同じだ。発表資料をなぞるだけの記事なら、いずれAIが書くだろう。人に残される価値は、現場に足を運び、問いを立て、独自の視点で社会を掘り下げる力にある。AI時代に問われるのは職業の名前ではなく、その人でなければできない仕事かどうかである。






















