不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編258 サブリース事業でフリーレント特約は自由か?
住宅新報 2026年4月28日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.いわゆる「サブリース」というのは、法的には他人物の賃貸借(民法561条、559条)であるという理解をしていますが、個々の「転貸借契約」において、その物件のオーナー(原貸主)が誰であるかを借主に説明する義務はあるのでしょうか。
A.オーナー(原貸主)が誰であるかを借主(転借人)に説明する義務までは、原則としてありません(京都地判昭和61年4月18日)。ただし、借主(転借人)の方から説明を求められていたり、オーナーからの転貸の承諾を得ることが難しいような特別な事情がある場合には、説明する義務があるとされていますので(同京都地判)、そのようなケースで無断転貸をした場合には、告知義務違反として不法行為責任を問われることになります(東京地判平成20年6月16日)。
Q.ところで、サブリース事業でよくとられる方法として、最初の数か月間を「フリーレント」ということで、賃料を無料にすることがありますが、これはサブリース業者の単独裁量でできるのでしょうか。
A.マスターリース契約に特段の定めがない限り、原則としてサブリース業者の裁量で行うことができます。しかし、そのフリーレントの期間が、例えば6カ月以上というような長期にわたるもので、そのためにオーナー側にとってもかなりの減収になるというようなケースの場合には、自由にできるというわけにはいかないと思います。
Q.ということは、例えば3カ月程度のフリーレントであれば、自由にできると考えてよいのでしょうか。
A.フリーレントが自由にできるかどうかは、その期間だけではなく、その結果として生じるオーナー側の保証賃料との関係で決まるのではないでしょうか。
その点について、東京地裁平成18年8月31日は、次のように判示しています。「(中略)法的に転借人に対する転借料の一部免除とみられるフリーレントは、それを許容する合意がある場合は格別、賃貸人に「著しい不利益」を生じないようにする等の特段の事情がない限り、賃貸人に対抗できない」としつつ、当該事案(フリーレント3カ月分)については、その減収分が直近の保証賃料(転貸料の80%)の4%程度であったことから、「著しい不利益」は生じないとしています。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















