社説 好調観測で決算発表シーズン到来 安住せず急変に耐える基盤を築け
住宅新報 2026年4月21日 号 2面
連載: 社説「住宅新報の提言」

新年度は、きわめて不透明な国際情勢の下で幕を開けた。4月10日に開かれた「中東情勢に関する国土交通省幹部会議」では、重要物資の供給確保が議題となった。焦点は、燃料油や石油製品の安定供給である。建設や住宅資材の分野でも、シンナー、樹脂、アスファルト合材など石油製品への依存は大きい。中東の緊張は、もはや遠い地域の紛争ではない。日本の暮らしと産業を直撃しうる現実の危機として受け止めるべきだ。
そのさなかに、不動産大手各社の26年3月期決算発表が本格化する。オフィス賃料の上昇、分譲マンション販売の好調、訪日客増を追い風としたホテル事業の伸長を背景に、過去最高益を更新する企業が相次ぐとの見方が大きい。
だが、好業績の陰で進む構造変化を見落としてはならない。中東情勢をめぐる緊張の高まりは、年初に広がっていた楽観論を吹き飛ばした。住宅・不動産業界もまた、その影響から逃れられない。原油高は、不動産業界に直接的に影響するわけではないが、建築・建設コストの上昇を通じて資材調達費を押し上げる。円安が重なれば、その打撃は一段と強まる。収益の土台である粗利率が損なわれる懸念は、決して小さくない。
警戒すべきは、コスト増だけではない。原油高に伴うインフレの長期化は、日銀の追加利上げを促す要因となりうる。住宅ローンの負担が増せば、住宅取得意欲は鈍る。景気停滞と金利上昇が同時に進むならば、オフィス需要の減退、分譲住宅の販売不振、訪日需要の鈍化といったかたちで、不動産市場全体に影響が広がりかねない。いわゆるスタグフレーションのリスクを、決して机上の空論として片づけるべきではない。
東京を始めとする大都市圏では、分譲住宅はなお底堅い。しかし、地方や郊外では、建築コスト上昇を価格に十分転嫁できず、消費者の購買力低下が重くのしかかる恐れが大きい。その中で、新築より資材価格の影響を受けにくい中古住宅は、相対的に存在感を増し、一定の商機が生まれよう。
一方で、国内の人口減少をにらみ、米国住宅市場を成長の柱とする住宅メーカーにとっても、前途は平坦ではない。米国は固定型住宅ローンが主流だが、金利はなお高い。インフレ再燃で生活コスト全般も上昇し、海外に活路を求める戦略も、外部環境次第で容易に揺らぐことを忘れてはなるまい。
地政学リスクが世界経済を揺さぶる局面では、市場の評価は一段と厳しくなる。企業が持つ資産の質、財務の健全性、資本効率の高さが、従来以上に問われる。世界的にリスク回避の動きが強まれば、企業は容赦なく選別される。足元の好決算に安住している余裕はない。いま求められるのは、短期の収益を誇ることではなく、外部環境の急変に耐えうる事業基盤を築くことである。先行きが見通せない時代だからこそ、備えの深さが問われる。


























