彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇221 〝プロ〟の証明 コンプラは哲学 無資格営業は論外
住宅新報 2026年4月14日 号 11面
連載: 彼方の空
21年4月に創設された一般社団法人不動産流通プロフェッショナル協会(真鍋茂彦代表)は4月2日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で恒例の花見会と第5期社員総会を行った。
同協会に参加する〝プロフェッショナル〟は以下の3条件を満たす者とされている。(1)不動産流通推進センターが認定する「公認不動産コンサルティングマスター」または「宅建マイスター」の有資格者、あるいはそれと同等の能力・資質を有する者、(2)最新の知識や知見を得るため不断の努力を厭わない者、(3)同協会主催のPPP(プロフェッショナル・プレイヤー・フィロソフィー)講座の精神を真摯に受け止め、コンプライアンス(職業倫理)、クライアントファーストの理念をもって仕事に臨む者。
PPP講座は昨年までに計4回実施されている。計200名以上が参加、同協会の主要な活動の一つといえる。昨年からはリモート版のPPP講座も実施している。現在の会員は60名とまだ少ないが、賛助会員(法人)9社、役員、顧問・参与、推薦人15名を含めると総勢84名規模の団体に成長している。
問われる営業品質
今、不動産流通業界で〝真のプロフェッショナル〟が求められている背景には何があるのだろうか。同協会最高顧問の竹井英久氏はこう指摘する。
「消費者ニーズが単純な一次取得中心から買い替え・相続・資産運用・投資など高額かつ多様化・複雑化している今こそ、営業品質、つまり専門家としてのサービスを提供できる営業資格・人材が求められている」(不動産流通推進センター発行『不動産コンサルティングプラス』4月号・時評より引用)。
実は、竹井氏(元三井不動産販売社長。現在はセゾンリアルティ代表取締役会長)が寄稿したこの時評が今話題となっている。タイトルは「無資格営業の解消は信頼産業への第一歩」。
その中で竹井氏はこう指摘している。「無資格営業は今の消費者ニーズに合っていない。宅地建物取引士は重説を独占業務とする資格であり、営業の資格ではない。宅建業法は悪徳業者排除などを目的に物件・契約内容の品質担保を重視しているが、営業の資格など専門家としてのサービスの品質に関して規定しておらず、長年の懸案になっている」
この〝専門家としてのサービスの品質〟とは何か。不動産流通プロフェッショナル協会が定めた行動宣言にはこうある。
1.私たちは、依頼者利益のため最善を尽くし、依頼者の不利益となる行動はいたしません。
2.私たちは、真実のみを依頼者に伝え、情報の誇張や不正確な伝達、リスクや不利益情報の隠蔽はいたしません。
3.私たちは、依頼者の意思決定に必要な情報に関しては、依頼者が十分納得するように説明を尽くします。
要するに、依頼者の利益保護を第一義に最善を尽くすということだ。しかし、依頼者の利益とは何か、何をもって最善を尽くしたといえるのかは〝哲学〟の領域にもなる。だからこそ、真のプロを自認する団体としては「行動宣言」や、それをより具体化した「行動基準」を明確にしておくことは最低限の責務となる。
更に言えば、依頼者への誠実さを最低限担保するものが公的資格である。再度、竹井氏のコメントを引用しよう。「無資格営業の弊害を減らすために新しい営業員資格制度の導入を検討したい。宅建士以外でも消費者に営業する者は全て一定の営業資格を持って働くことの意義は大きい」。試験問題としては「不動産の総論的知識と職業倫理・営業接客上の禁止事項を中心とし、特に消費者利益の保護、公正誠実な業務遂行やコンプライアンスへの理解を促すものが適当」としている。
無資格営業を可能とする現行の体制は〝論外〟と言うべきである。
























