彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇220 〝不動産業のミライ〟語る キーワードは「信頼」 倉石課長・女性塾
住宅新報 2026年4月7日 号 11面
連載: 彼方の空
第50回「不動産女性塾」(3月24日)で講演した倉石誠司不動産業課長は冒頭、「不動産業の未来を支えるキーワードは〝信頼〟」と語った。これは女性塾塾長で今年創業70周年を迎えた北澤艶子北澤商事(東京足立区)会長が信条としてきた「信用が第一」とピタリ符合する。まさに70年の時を経て〝不動産愛〟が人一倍強いと自らを語る倉石氏と北澤塾長との出会いが実現した一瞬である。
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信頼こそが鍵を握る新たな不動産取引サービスとして倉石課長は「リースバック」「有償引取サービス」「コンサルティング」の3事業を挙げた。自宅のリースバックに関わる取引は、住宅の売買とその賃貸借が契約上不可分となっている。うち、宅建業者が買主となる売買取引については宅建業法が適用されるが、宅建業者が自ら貸主となる不動産賃貸借契約には適用されない。
有償引取サービスはいわゆる〝負動産〟を有償で引き取るというものだが、やはり通常の不動産取引とはいえず、宅建業法の射程外となる。
こうした業法の適用外となる部分を含む新サービスが増えているのが近年の特徴だ。自宅リースバックは高齢者世帯などの家計不安が背景となっているし、引き取りサービスは人口減などを背景にした〝負動産〟の増大が起因している。74年前に制定された宅建業法はこれまでに幾多の改正はなされてきたものの、未だ一度も抜本的改正はなされていない。
期待のコンサル
業法の規制が及ばない取引とはいえ、国民生活上その必要性が高まっている以上、健全な発展に向けた対策を施すのが不動産業課の使命と倉石課長は考える。そのためには、「そうしたサービスを行う事業者に対する国民の信頼が不可欠」とも指摘する。その国民からの信頼が求められる不動産取引サービスの最高峰が92年の発足以来、長い経緯と様々な実績を重ねてきた不動産コンサルティング制度だ。
では不動産コンサルティングとは何か。不動産コンサルティング制度検討員会の報告書(99年9月)では「依頼者との契約に基づき、不動産に関する専門的知識・技能を活用し、公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、事業経営及び投資などについて、(中略)依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務」と定義された。
問題はそのあまりに広範で漠としたイメージゆえに社会的認知度が今一つとなっていることである。とはいえ、今後多様化する社会課題の解決には不可欠な事業であることも確か。そこで、いかにしてその認知度を高め、独自の報酬制度をもち、国民の信頼に足る高度な不動産業として成長させていけるかが大きな課題となっている。
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倉石氏の講演はこのほか、「外国人による不動産取得への対応」「マネー・ロンダリング対策」「不動産管理業」など多岐に渡った。そこから見えてきたのは、不動産業の未来には気が遠くなるほどの課題(個々の課題についての考え方の整理、具体的対策、法令改正など)が山積していることである。
倉石氏は最後に「地域に新たな価値を創出する〝地域価値共創〟」というキーワードを挙げた。「地域課題解決のリーダーは不動産業者であり、自治体、多業種との連携でエリア価値向上の主役になってほしい」と呼び掛け、講演を終えた。
























