社説 4月に改正法施行も残る課題 マンションの終末に道筋を
住宅新報 2026年4月7日 号 2面
連載: 社説「住宅新報の提言」

マンションの「2つの老い」への対策を図るマンション関連改正法が、4月に全面施行された。多岐にわたる制度改正・拡充で課題への対策を図っているが、まだ心もとない部分もある。その一つはマンションの「終末」、それも「解体」への向き合い方ではないか。
同改正法では、マンションの終末期における選択肢のうち、建て替えを含む「再生」の推進に力を入れている。それは有望な選択肢だが、人口減少の進む今後の我が国においては、「再建を前提としない解体」が最適な場合も考えられる。例えば、再生しても立地等の関係でニーズが見込めない場合や、規制等により事業採算性の面で困難なケースもあるだろう。
しかし現状、再生を前提とせず、純粋にマンションを〝終わらせる〟ための解体費用を積み立てている事例は極めて少ないと見られる。再生も解体も行われないマンションはいずれ、朽ちた大きな空き家となる。高経年マンションはいまだ、制度的・構造的に、そうした社会的リスクを解消できているとは言えない。
そこで国や自治体には、マンションの解体に焦点を当てた仕組みづくりが、今後は一層強く求められるのではないか。再生だけでなく、本当の意味でのマンションの終末に道筋を示すことは、都市や国土を維持・管理するという責任の一部でもある。
同時に、マンションを供給する不動産事業者も、物件の終盤に対して一定の道筋を提供することが望ましいあり方のはずだ。例えば、新築分譲時に再生または解体の計画を設計し、十分な経費の積み立てを管理組合運営に組み込むよう促すことも可能ではないか。
定期借地権マンションも、その対策として一つの合理的な手法だ。ただし、現状はまだ契約期間を満了したケースが乏しく、計画通りに制度が機能するかどうかへの懸念も指摘されている。確かに契約や法令の面では強い実効性が見込まれるものの、契約通りの解体や退去に支障が生じる事態も想定され、強制執行等が円滑に実施されるかどうかは未知数だ。
例えば居住者が高齢化し、健康面や経済面で住み替えが困難となった場合、本当に強制的に退去させるのか。果たして、それは社会的・倫理的に許容されるのか。意図的な〝居座り〟があれば、行政手続き等を考えると解体・返還の遅延は避けられまい。また、物価上昇は終わりが見えず、区分所有者の所在不明化も課題視される中、返還前の解体費用は確実に担保されるのか。こうした現実的なリスクを考慮すると、定借物件が拡大しても、マンションの終末をめぐる課題が解消される保証はない。
必要なことは、官民の双方がこうした現実に正面から向き合い、対策の必要性を認識することだ。もはや「私有財産の自己責任」で済まされる時代環境ではなくなっている。






















