第97回 「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 意識的な引っ越しのすすめ
住宅新報 2026年3月31日 号 18面

前回、前々回と2回に渡って不動産業者がお客になって感じたこととして筆者が公的賃貸住宅に入居した事例を紹介した。本来なら今回は筆者が自宅を購入した際の売買におけるお客の側に立った時の学びについて共有するつもりだったが、前回の続きで書き足りない部分があり、またの機会としたい。
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前回は公営住宅のネックとしてのインターネット環境について書いたが少し付け加えたい。東京都住宅供給公社(JKK)とNTTを含む通信事業者4社はインターネットに関する協定を結んでいるということが、申請を進めていく中で分かった。この協定によって許可された工事方法や手続き方法が決められているとのことである。特筆すべきはJKKの住宅では既存の配管が詰まっていて光ファイバーが通せない場合は、JKK側で配管業者を手配して新たな配管を設置することになっており、筆者もこのやり方で光ファイバーを通してもらった。こうしたJKKの光ファイバー引き込みに関する理解や仕組みには一定の評価をしたい。
ただし問題は申請してから光回線が使えるようになるまで6カ月掛かったことである。JKKやNTTの窓口担当者は先述の両社による協定についてよく理解していなかったり、担当者によってはそもそも協定の存在を知らなかったりした。つまり一部末端まで徹底していないということである。
また、協定に従って進めたとしてもJKK内の事務的な連絡や引継ぎ、通信事業者側の調査などで結果として6カ月掛かった。入居者はその間どのようにしてインターネットを使うのだろうか。遅いVDSL方式やCATV、またはスマートフォン(スマホ)のテザリングなどでしのぐしかない。テザリングとはスマホなどをWi-Fiルーターのようにアクセスポイントとしてパソコンやタブレット端末をインターネットに接続する機能で、大抵のスマホにはこの機能が付いている。筆者はこの方法で6カ月間を乗り切ったが、やはりテザリングではオンライン会議は安定しなかった。JKKにはこれらの実態を踏まえてスピード感のある仕組みづくりを求めたい。
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このように賃貸でも売買でも不動産業者が自らお客になることで得られる学びは少なくない。筆者はX(旧ツイッター)でもポストしたが、不動産業者は意識して引っ越しをするとよい。賃貸なら5年ごと、購入するなら10年ごとに引っ越しすることでお客の側に立ち、それが学びとなり自らの業務に生かしていける。新しい環境は気分をリフレッシュさせるし、お客の立場から不動産業者や管理業者を見ることができる。もちろんこれは大家も同様である。ぜひ意識的な引っ越しをおすすめしたい。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















