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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編254 競売物件を入札する際の最大の注意点は?

住宅新報 2026年3月31日 号 17面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編254 競売物件を入札する際の最大の注意点は?

Q.前回までの記述で、立退料と一般に言われているものが、実はいろいろなケースによってその計算式があるのだということがわかりました。

A.今後の参考になればよいと思います。しかし、貴社が競売物件を取得して事業を行うとなると、注意点はそればかりではありません。それは、競落した物件に欠陥があったときの対応です。

Q.それはどういうことでしょうか。

A.それは、競売物件にはその「種類または品質に関する不適合」について、民法568条1項から3項までの規定が適用されないということです(民法568条(4))。つまり、その競売物件に欠陥があった場合であっても、債務者すなわち物件の所有者に対し、その責任を追及することができないということで、その具体的な事例として、次のような有名な裁判例があります。

 それは、競売物件内のガレージに駐車してあった債務者所有の車の中に債務者の自殺死体があったという事案で、競落人が裁判所(国)に請求した執行官の現況調査不足に関する国家賠償請求を否定したという裁判例です(東京地判平成25年4月24日)。

Q.それはおかしいですね。競売物件の調査は、裁判所の書記官や執行官が事前に行っているのではありませんか。そのための物件調査書や現況調査報告書だと思うのですが。

A.その通りです。主として権利関係は書記官が、物件の現況調査は執行官が行います。

 しかし、本件に関する裁判所の見解は、執行官が行う現況調査というのは、あくまでも物件そのものの外形から見て判断できるものに限られ、建物の内部や付属建物の内部はその対象になるが、ガレージの中に駐車してある車の中までの調査義務はないというものでした。つまり、車は不動産(土地・建物)ではないので、調査の対象ではないということなのだと思いますが、ただ、「自殺」については、競落人にとってもその心理的欠陥としての影響が大きいので、建物の軒先や庭内での自殺については、その売却許可が取り消されたものが多くありますので、必要な配慮だけはなされているようです(名古屋高決平成22年1月29日、札幌地決平成10年8月27日ほか)。

渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男

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