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プレミアム会員限定古民家宿の物語 日本全国リノベーション 131 秩父定峰清流キャンプ場 古民家ゲストハウス(下) 〝秩父を楽しむ起点〟として

住宅新報 2026年3月31日 号 17面

連載: 古民家宿の物語 日本全国リノベーション

総合
古民家宿の物語 日本全国リノベーション 131 秩父定峰清流キャンプ場 古民家ゲストハウス(下) 〝秩父を楽しむ起点〟として

地域を巡る仕組みづくり

 運営面で印象的なのは、古民家宿を単純に「泊まる箱」にせず、地域を巡る〝起点〟として設計している点だ。利用者は首都圏から車で来るファミリー層が多い一方、電車利用者も想定し、西武秩父駅まで送迎サービスやレンタカーサービスなども広がっている。秩父に到着した瞬間から非日常が始まる。その入口で「ザ・秩父」を体感してもらうことが狙いだという。

秩父の食材を価値にする

 古民家の宿泊者の反応として多いのは「実家に帰ってきた感覚」。古民家ゆえのきしみや音は、ビジネスホテル的な快適さを求める層には向かないが、逆に「古民家だからこそ落ち着く」と捉える層には強い魅力になる。ここに、囲炉裏、薪ストーブ、焚き火といった〝火の体験〟が加わり、滞在の物語性を高めている。

 食の強みも大きい。オーナーは市内でそば店を営み、飲食のノウハウを持つ。施設では地元食材を用いた料理を提供し、郷土料理を知る近隣の人々と連携して「郷土料理研究会」を立ち上げた。豚味噌やホルモン、干し柿づくり、竹林のタケノコを活かしたメンマづくりなど、地域の知恵を宿の価値へ転換する取り組みが進む。スタッフも近隣から通う人が多く、廃屋がよみがえったことで、懐かしい話が自然と集まる〝場〟にもなった。一方で、静かな暮らしに変化が生じ、地域との丁寧な関係づくりが欠かせない。

楽しめる体験も豊富

 敷地内には浅瀬の川が流れ、川遊びに適した環境がある。夏には魚の放流や焼いて食べる体験、ホタル観賞、カブトムシ採集、タケノコ狩り、椎茸農家とのコラボによる椎茸狩りなど、自然と地域産業を結びつける企画が並ぶ。チェックアウト後も「もう少し遊んで帰りたい」という声が多いのは、宿が〝滞在時間〟ではなく〝体験の総量〟で評価されている証左だ。近隣のいちご農園と組んだプラン、外湯利用者への一部補助など、周辺施設の力も借りながら回遊を促す。ここだけで完結せず、秩父全体を好きになってもらう――その思想が、「古民家×キャンプ場」という異色モデルを、地域共生型の観光拠点へと押し上げている。

住所=埼玉県秩父市定峰345

ウリ=キャンプ場との併設により、アウトドアも満喫できる

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