ひと 「住まう」を問い続ける現場 居住支援に取り組み40年 ユマニテ代表取締役 大久保 始代さん
住宅新報 2026年3月31日 号 2面
連載: ひと

1981年設立。東京・世田谷のユマニテは、先代から居住支援に関わってきた。契機は精神障害のある人を支えるNPOからの相談。「グループホームとして使える住まいを探している」。地主のマンションの紹介を機に取り組みが始まり、お試し居住や一棟貸しへと発展。こうした活動は30年前には形となり、区長から表彰も受けている。
その後も相談は絶えない。高齢者など入居に配慮が必要な人の住まい探しでは、物件条件やオーナーの意向、生活支援体制などをすり合わせる調整が欠かせない。古くからの大家に「ここまでしかできないのか。逃げるのか」と叱られた経験もある。支援の線引きは今も難しい問題だという。
近年はもう一つの課題も見えてきた。高齢になった大家自身の住まいだ。70代後半で一人暮らしのオーナーも珍しくない。「入居者だけでなく、大家も支援の対象になりつつある」。相続や資産整理も含め、賃貸住宅の「出口」を見据えた提案が求められている。
昨秋施行の改正住宅セーフティネット法を受け、居住支援法人のホームネットと連携し東京都での「居住サポート住宅」登録に先行的に関わった。制度を活用しながら住まいの受け皿を広げる取り組みを進める。長年の現場で培ってきた経験は、制度だけでは埋めきれないすき間を補い、地域の信頼関係の中で支援を形にしてきた歩みでもある。
「住まいの選択肢は、本当に開かれているのか」。大久保さんはそう問いかける。「居住支援とは要配慮者だけのものではない。全ての人の『住まう』を快適にすること」。入居者だけでなく、大家も歳を重ねる。その現実を前提に、誰もが住まいを選べる環境をどうつくるのか。居住支援の射程は、今やその先へと広がりつつある。
社名のユマニテはフランス語で「人間性」を表す。その徹底が他社との違いになる。 (佐々木淳)


























