不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編253 「立退料」の内訳を整理するとどうなる?
住宅新報 2026年3月24日 号 21面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解
Q.前回・前々回と、競売物件の入居者の明渡しに伴う「立退料」の問題を伺ってきました。
A.前々回(第251回)は、競落人に対抗できる入居者の明渡しに対し、その立退料として、「借家権方式」で算出した額を基準に支払うというもので、前回(第252回)は、競落人に対抗できない入居者の立退料として、即時あるいは早期退出者などを対象に「実費・損失方式」で算出した額を支払うということなどをお話しました。
Q.前回・前々回の話を通じ、立退料には、その入居態様によっていくつかの種類があることがわかりましたが、その立退料の内訳を整理していただきたいのですが。
A.その内訳については、一般に上記表のように整理されています。
したがって、その建物が「居住用」の場合で、その入居者が競落人に対抗できない即時あるいは早期退出者の場合には①の費用のみが対象となり、競落人に対抗できる入居者に対しては、②のほかに①の費用も補償の対象になるということです。ということは、その後者のケースでその建物が「事業用」のものであるときは、上記①から③までの全ての費用と権利等が補償の対象になるということです。
Q.そうすると、前回(第252回)の記述にもあった貸主の「正当の事由」を補完するための立退料は、上記一覧表の中のどの部分が対象になるのでしょうか。
A.その点については、今まで述べてきた競落人に対抗できる入居者のように、競売物件特有の対抗関係がその直接の背景になるわけではありませんので、例えば建物の老朽化に伴う建替えのための建物の明渡し請求というようなケースがその代表的なものになります。したがって、それが一般的な住宅の場合には、上表中の①が中心になりますが、ケースによっては、②の「借家権」の価格も考慮すべき場合があると考えられます。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男
























