増え始めた定期借家 値上げ交渉に有利? 本来の趣旨外れる懸念
住宅新報 2026年3月24日 号 1面

近年の家賃上昇を背景に定期借家権契約が増えている。オーナーが定借ならば再契約時に家賃を値上げしやすいことに気付き始めたことが要因だ。ただ、そうした理由で定期借家権が増えていくことに懸念を示す関係者は少なくない。SNSなどオーナー間の口コミで広まり始めた格好だが、市場の主流になるとの見方は現時点では少ない。では今後どこまで、どのような広がりを見せるのか。その余波も含めて取材した。(井川弘子)
業界の中でもいち早く定期借家を導入したことで知られる都内の管理会社アートアベニュー社長の藤澤雅義氏はこう話す。
「今、定借が増加しているのはオーナーが賃料を上げやすいからだろうが、それもいかがなものか。定借本来の意義はもっと奥深い。値上げに応じなければ退去させることができるからという安易な導入が増えればトラブルこそ増え、定借創設の趣旨からは外れてしまう」
定借は借主の立場を強く保護する普通借家の弊害をなくし、双方が対等となる賃貸市場にすることを目的に2000年3月に創設された。しかし、その趣旨はなかなか理解されず、業界での関心も低いまま推移してきた。















