酒場遺産 ▶148 武蔵小山 鳥勇 変わる街に残る、焼鳥の煙
住宅新報 2026年9月8日 号 11面

武蔵小山で先輩の誕生パーティーがあり、約束の時間より1時間ほど早く着いた。まだ時間がある。商店街の先に老舗の焼鳥屋「鳥勇本店」があることを思い出し、散歩がてら歩いてみることにした。武蔵小山商店街パルムのアーケードは約800メートル。商店街が終わるあたりに、ひときわ人の集まる「鳥勇本店」が見えてくる。ヒナ肉、ネギ肉、シシトウ肉、レバ、ミックス、ツクネ、かわ、うなぎ、ナンコツ、スナギモ、ハツなど、串は全品190円。かわ、レバ、ミックスを食したが、まずその大きさに驚く。店頭の保温台に並ぶ串を自分で取り、タレにつけて食べる。最後に串の本数で勘定する、いわば「性善説」のシステムである。私は普段は塩派だが、ここのタレは格別だ。「鳥勇」は昭和元年創業。
現在は3代目が暖簾を守る。店名の「勇」は、創業者・板倉勇氏の名から取ったものだという。90年以上継ぎ足してきたタレも、この店の味を支えている。本店から駅へ戻る途中、「鳥勇 一番通り店」にも立ち寄った。通りに面してカウンターがあり、客が立ったまま串をつまんでいる。こちらも串を自分で取り、最後に本数を申告する同じ仕組みである。ビール、焼酎、日本酒など酒もそろっていたので、マッコリを注文した。隣にいた若い男性客が、この店の流儀を教えてくれた。「ここは酒がそろっているけれど、本店は飲み物が少ない。向かいのセブンイレブンでビールを買って、本店で焼鳥を食べるのがいい」。なるほど。次回はそうしよう。














