不動産協会 吉田理事長が会見 建築費高騰、日建連と連携めざす 都市再生に深刻な影響及ぶ
住宅新報 2026年3月17日 号 3面

不動産協会は3月12日、都内で理事会を開催し、「令和8年度事業計画」を決定した。環境政策、都市政策、住宅政策を柱に推進する。理事会後の記者懇談会で吉田淳一理事長(三菱地所取締役会長)は、「まさに分岐点にある。中東地域を巡る情勢が不安定化し、仮に長期化するとエネルギー価格はもとより、国際金融市場、世界経済全般にわたって先行きが懸念される状況になる」と話した。金利情勢でも「上昇ムードが醸成されると分譲住宅にマイナスに働く」と懸念を示した。
先の衆院選で自民党が圧倒的多数で議席を獲得したことを踏まえて、「高市政権が唱える強い経済に向けた施策が加速される。今こそ、政・管・民の総力を上げて我が国経済をけん引しながら社会課題の解決に資する投資を拡大し、暮らしの安全安心を確保して将来世代への責任を果たさなければならない。不動産業界は重要な一翼を担っている」との認識を示した。
足元の不動産マーケットは総じて堅調だとするが、建築費の高騰や開発用地の取得難、金利の先高観を受けて不動産事業を取り巻く環境は確実に厳しくなりつつあるとした。「特に建築費の高騰は、都市再生に深刻な影響を及ぼす大きな問題だ」と訴えた。その建築高騰への対応で同協会は、昨年11月26日に日建連(日本建設業連合会)に協議を申し入れている。資材費・労務費などの上昇率を超える見積もり価格が出ていると指摘しながら、「そのような形になるのはなぜなのか。建設業の担い手の確保であったり、生産性の向上など構造的な課題に取り組んでもらうことや建設業界を取り巻く課題・調達状況の情報をもらいたいといった趣旨だ」(野村正史・専務理事)と説明。発注者と受注者という関係を乗り越えて連携できるところは連携する。「遠くない時期にコンセンサスが取れるのではないか」との認識も示した。
法人取引〝広義の実需〟
社会的関心が高まっている住宅価格の高騰は、建築費の高騰と住宅供給戸数の減少に対して旺盛な需要というタイトな需給バランスが主な要因だとし、短期的な転売の影響は限定的であり、投機的な転売は好ましくないと従来の主張を繰り返した。
外国人だけでなく法人取引が価格上昇の要因ではないかとの見方については、居住して賃貸収益を得るという投資需要を「広義の意味で実需的なものだと思っている。取引に法人が一定数いるのは否定できないが、全てが短期的な転売によるキャピタルゲインを取っていく取引かどうかは一概に決めつけられない」(野村専務理事)とした。
同協会では、昨年11月に対策指針を打ち出した。その後、アンケートを実施したところ会員162社のうち91社から回答を得たという。このうち57社が分譲マンション事業を手掛けており、その中で41社が「(指針の)導入を決定・前向きに検討中」と回答した。もっとも、事業エリアなどによる各社の判断が導入の前提になっている。
なお、同日の理事会で事務局長の異動人事も決めた。3月31日付で安井清史氏が退任し、久保博彦氏が4月1日付で就く。






















