大言小語 役割、また一つ
住宅新報 2026年3月17日 号 1面
連載: 大言小語

年度末から新年度にかけては、制度や仕組みが切り替わる季節だ。税制や保険料、公共料金、様々なサービスの内容もこの時期に見直されることが多い。役所の窓口も企業の現場も、何かと慌ただしい。新しい制度が始まり、古いルールが改められる。私たちはその変化に、半ば当たり前のように付き合っている。
▼制度が変わると、仕事の内容も少しずつ増えていく。説明が必要になり、相談の窓口が設けられ、手続きも細かくなる。便利になる部分もあるが、その裏側では誰かが新しい役割を担っている。社会の仕組みが複雑になるほど、仕事は専門化し、分担も増えていく。気付かないうちに、以前にはなかった担当や機能が生まれ、組織の中に新しい役割が積み重なっていく。
▼気が付けば、職業や肩書きの名前も増えている。コーディネーター、コンシェルジュ、アドバイザー。従来の仕事に新しい役割が重なり、名前も少しずつ変わっていく。社会の変化に合わせて、仕事の輪郭も書き直されているのだろう。役割が増えることで仕事の幅が広がる一方で、どこまで担うべきかを考え直す場面も増えているように見える。
▼不動産の世界でも、売買や仲介だけでは語りきれない仕事が増えている。相続、空き家、居住支援。相談の内容は広がり、関わる領域も広がってきた。業界の役割は今、静かに書き換えられつつある。私たちは、その変化をどこまで自覚しているだろうか。






















