古民家宿の物語 日本全国リノベーション 127 小川まちやど (中) 三つの宿を束ねる決断、法人化へ
住宅新報 2026年2月24日 号 21面

大きなアイランドキッチンが和室とマッチしている
古民家宿を引き継ぐ
すでに小川町には、ゲストハウス型の「ジットハウス」と古民家一棟貸しの「三姉妹」という性格の異なる二つの宿が存在していた。ここにツキを加えることで、町の滞在機能を点ではなく「面」で支えられるのではないか。そう考えた二人の宿オーナーは、ツキの引き継ぎを決断。それを契機に法人を設立し、三つの宿を束ねるブランドとして「小川まちやど」を立ち上げるに至ったという。
そして法人化と同時に行ったのが、コンセプトの再整理である。それぞれ特長の異なる宿を、単なる寄せ集めにせず、「小川町に暮らすように泊まる」という共通の思想で束ね直した。
ブランドコンセプトを定め、それに基づいた空間のあり方や運営方針を明確化したことが、その後の展開を左右した。
景観を楽しめる浴室
特に力を入れたのが、ツキの再生である。
川沿いという立地の魅力を最大限に引き出し、「泊まること自体が体験になる宿」へと転換するため、設計方針を定めた上でリノベーションを実施した。法人化を背景に金融機関からの借り入れも行い、デザインと施工の一体性を重視した改修に踏み込んだ。
これにより、ツキは従来の簡素な宿泊施設から、高付加価値型の宿へと性格を変えた。動線もスムーズに改良して、段差を少なくしてある。キッチンも広々としていて、料理会ができそうなほどだ。また浴室からは川や山の景観を楽しめる工夫が施されていて、非日常を満喫できる。
点から面への展開
一方、ジットハウスは気軽に泊まれる拠点として、また三姉妹は町中で暮らすように滞在できる古民家宿として役割を明確化。三宿はそれぞれ異なる個性を持ちながら、相互に補完し合う関係へと変わっていった。
こうして誕生した「小川まちやど」は、単なる宿泊事業ではない。法人化、ブランド構築、投資を伴うリノベーションという段階を経て、町の滞在機能そのものを再設計する取り組みとして形を成していった。
宿=ツキ
住所=埼玉県比企郡小川町大塚176の1
ウリ=小川町を夜まで満喫でき、日常を体験






















