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社説 財政拡張政策と金融政策 金利耐性を高め暗雲に備えよ

住宅新報 2026年2月24日 号 2面

連載: 社説「住宅新報の提言」

政策
社説 財政拡張政策と金融政策 金利耐性を高め暗雲に備えよ

 衆院選は自民党が単独で全体の3分の2を超える議席を獲得し、歴史的大勝となり、2月18日に召集された特別国会で発足した第2次高市政権はハンドリングしやすくなった。高市首相の政策遂行能力が強まったとの思惑から成長戦略へ向けた財政拡張的な政策への期待が高まっている。株式市場は好感。政策の後押しに期待が集まる業種を中心に株価が上昇し、そもそも利上げに乗り気でない高市首相の政権基盤が今回の選挙で盤石となったことで早期の利上げにつながらないとの連想が働いて不動産業も株価が上昇傾向を見せた。賃料の増額改定が進むなど不動産市場が堅調なことも後押しする。

 ただ、経済成長が鈍化している場面で公共事業の拡大や減税、補助金の給付などを通じて意図的に需要を創出するために使う政策手法を使えば、今のインフレに油を注ぎかねず資産インフレが加速する可能性がある。景気を刺激する減税と投資の促進によって景気・賃金・物価の粘着性が高まるほど追加利上げの実行確度も高くなる。日銀が利上げを進めやすくなるというシナリオが消えたわけではない。金利事情に詳しい専門家の言葉を借りれば、政策金利は年内に1.25%、ターミナルレートは27年の1.5%とみられるが、債券市場の混乱などで円安に歯止めが掛からない場合は2%を超えるリスクシナリオが想定される。

 政府債務残高のGDP比がインフレにより低下傾向だとはいえ、国債を増発すれば長期金利がじり高に向かう。自民党も消費減税を公約に盛り込んだ。減税の財源捻出のため、国民会議で議論を進めて夏前には中間取りまとめを行う方針だ。特例公債(赤字国債)の発行に頼らず税外収入で歳出の組み替えを中心とする財源が求められているが、租税特例措置での法人向けの減税額では消費税率をゼロにする財源(年間5兆円程度)としては足りず、外国為替資金特別会計の含み益の活用は為替介入と同じ取引が必要になるためやりづらい。日銀が保有するETF等の含み益にも視線が注がれる。

 高市政権はポピュリズム政治のカジ取りが試されている。国内債権市場は落着きを見せているが、仮に財源確保に失敗して赤字国債頼みとなれば金利が想定以上のペースで駆け上がり、住宅・不動産業界に暗雲が立ち込める。資金調達コストが上がれば不動産ビジネスは萎縮する。想定する期待利回り(キャップレート)は得られずに、同じNOI(純営業収益)でも借入金利の上昇を受けて投資家からの要求利回りは上がる。利回り上昇に伴い不動産価格に下落圧力が生じ、金利1%上昇で価格が15%下落するとの見立てもある。ただ、立地や物件の特性で賃料増額改定が受け入れられやすい不動産は金利上昇でもNOIが伸びて価格調整が相殺されやすい。不動産の運用は法人・個人とも金利への耐性が高く評価される工夫が欠かせない。

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