彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇213 10年になる「不動産女性塾」 結束力の秘密探れば 〝心の友〟の集まり
住宅新報 2026年2月17日 号 11面
連載: 彼方の空
「たくさんの友人がいることぐらい、楽しい人生はありません」
1月27日に明治記念館で開かれた第49回不動産女性塾新春セミナーに集まった約100名もの人たちに対するお礼の言葉を述べたあとで、北澤艶子塾長はそう語った。
「私ぐらいいい人たちとの出会いに恵まれた幸せな人生はない」と塾長はいつも口にする。多くの人たちが寄ってくる北澤氏の魅力はどこにあるのかと思うに、それはまさにそのことへの感謝を忘れない謙虚さにあるのだと思う。
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2016年に設立された女性塾は今年でちょうど10年になる。北澤氏が女性塾を創設したときの思いは3つだ。(1)不動産業界に恩返しがしたい(2)この不動産業界で働く女性たちを次世代につなげたい(3)不動産業界のイメージアップを図りたい。当時、北澤氏は不動産業界のイメージをどう変えたかったのだろうか。『一途に生きる 北澤艶子』(2015年・住宅新報社刊)という著書の中でこう述べている。
「テレビドラマに登場する不動産屋さんといえば決まって革ジャンを着たうさんくさい男ばかり。どうして天海祐希さん(あまみ・ゆうき=女優)みたいに、きれいで洗練された女性が出てこないのかしら」
念のために言えば、現在不動産業界で働く人たちの中には洗練された男性が数多くいる。ただ、一般の国民がもつ不動産業界のイメージは依然としてテレビドラマに近いかもしれない。ちなみに、住宅新報は1月13日号から2月3日号の4週にわたって不動産業界団体新年会の記事を掲載したが、そこに登場した41団体(含む支部)のトップはすべて男性だった。不動産業=男性社会というイメージは盤石である。
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それはともかく、「不動産業、なかでも住宅の売買や仲介には女性が向いている」という声をよく聞くようになった。たしかに、共働き夫婦は増えたが家事の多くは女性が担っているのが実態であり、家の隅々にまで目が届くのは女性である。地域のコミュニティに通じているのも女性である。だから住宅を探しているユーザー・ニーズをよりきめ細かく把握できるのは男性ではなく女性ということになる。不動産営業には男性よりも女性(かつては働いていたが今は職についていない主婦を含む)を雇うほうが成約率は上がるのではないか。
北澤艶子氏はこうも述べている。「人間にとって大切な住まいは、女性の豊かな感性を生かすことのできる職業だと思います」。
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AIの進化によって人類の未来は予測不可能なものになりつつある。AIが人間の頭脳をはるかに超える知能と力量をもったとき、この世のあらゆる産業構造と価値観が変わると言われている。では、人間はそれに備えてどう対応すればいいのだろうか。それも予測不可能だ。しかしどんな時代になろうとも人間が幸せに暮らす手段はたった一つである。それは人間としての豊かな感性を忘れないことである。ではヒトの感性はどうすれば磨かれるのか。それは「人に尽くす」心から生まれる。人にとって大切な「住まい」をあっせんする不動産業ほどそれにふさわしい仕事はない。なぜなら、不動産業は依頼者に心から寄り添うべき仕事だからである。だから北澤艶子塾長はこう述べる。
「このような素晴らしい職業に、ぜひこれから社会に出て働く若い女性にどんどん参入していただきたい。近い将来、不動産業が女性のあこがれの職業ナンバーワンになることを渇望している」
「不動産女性塾」には塾長のそうした想いを支える6人の女性理事がいる。北澤氏が女性塾を創設したいと呼びかけたときまっさきに賛同してくれた〝心の友〟である。女性塾は会員登録制ではなく、そのつど自由参加である。だからこそ強い絆によって、全国から心強い友人たちが集まってくる。
























