社説 衆院解散で国会審議が停滞 政策方針の朝令暮改に物申せ
住宅新報 2026年2月10日 号 2面
連載: 社説「住宅新報の提言」

1月23日召集の第220回通常国会で、衆議院が解散された。高市早苗内閣総理大臣の意向によるもので、解散に伴う衆議院議員選挙は同月27日公示、2月8日投票と定められた。異例の時期、短期間での解散総選挙であり、数々の弊害が指摘されている。筆頭は、国会審議への悪影響であろう。少なくとも選挙期間中は、26年度予算・税制の審議が完全に停滞した。住宅・不動産市場を支える予算事業も、日本経済全体の回復を目指す政策も、一律で〝後回し〟となったことに、業界としては苦言を呈するべき場面ではないか。
もちろん、高市総理の側にも言い分はあり、解散当日の会見では、「自身の掲げる『新たな国づくり』を進めて良いのか、自公から自維連立に変わった枠組みについて、国民に信を問うべきと考えた」と述べている。もっともな理由である。同時に、昨日今日で決まった話ではなく、「なぜ今このタイミングの解散なのか」という疑問への説明にはなっていない。
国会における予算審議は、国家として極めて重い意味を持つ。それを差し置いても解散総選挙を行うのであれば、そのメリット・デメリットを定量的に比較した合理的な根拠を提示すべきだろう。我が国でも現在、行政分野ではEBPM(根拠に基づく政策立案)を重視する考え方が広がり、徐々に実践も進んでいる。政権与党として、そうした面でも範を示す必要があるはずだ。
実際の予算事業を見ると、住宅・不動産分野では、直近の目玉施策である「住宅省エネ2026キャンペーン」は25年度補正予算で費用の大部分が担保されているものの、一部は26年度当初予算を充てることとなっている。中央省庁の現場からは、表立っての批判こそないものの、「予算事業のスケジュールが想定と異なってくるかもしれない」との不安も漏れ聞こえる。更に与党の中からも、「『多少議席を増やせるのかもしれないが、なぜ唐突にこの時期なのか』との意見は少なくない」(ベテラン議員事務所)と困惑する様子がうかがえた。
更に今回の場合、閣議決定済みの税制改正大綱を覆す形で、与党側も唐突に「消費税減税」を打ち出した。実施の有無や時期は不透明ながら、朝令暮改でこうも閣議決定が軽んじられると、住宅関連の予算・税制に対しても市場としては警戒心を持たざるを得ない。
2月6日現在、総選挙の結果はまだ見えていない。だが結果はどうあれ、国会審議は遅れた。高市総理は、我が国経済への責任を問われることを避けられまい。そしてその責任を誰が問うのかと言えば、野党や報道機関だけでなく、国に対して一定の影響力を持つ住宅・不動産業界団体も、その役割を求められるのではないか。国民自身の審判とは別に、我が国経済の一端を担う立場として、国に物申す気概を期待したいところである。






















