不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編93 ~畑中学 取引実践ポイント~ 客観的な視点・データで対応を 「顧客へ活動報告(業務の処理状況)」
住宅新報 2026年2月3日 号 14面

不動産仲介業務の一つに売却状況の「活動報告(業務の処理状況の報告)」がある。報告するだけならそこまで意識せずとも、報告をきっかけに顧客とのコミュニケーションを取りたいのなら何を話すために書くのか、目的を考えて報告することになる。「先週電話で話をしたから報告をしなくてはいいか」とは思いがちだが、面倒でも報告する(筆者感想)。宅建業法34条の2で定めている2週間に1回以上の売却活動状況の報告は最低限行い、「現在の状況を把握して欲しい」、「次のアクションの提案をしよう」と考えているようなら、報告を有効に活用していくのが最善と言えるだろう。
活動報告は定まったフォーマットはないので、不動産各社で報告する内容は異なる。問い合わせ件数やネットの閲覧数、案内件数などの売却活動データと、検討顧客と話をした内容や成約に至るかなどの現状の記載、今後の広告や集客活動についての報告などが一般的な活動報告だろう。
一方、この活動報告を膨らまして顧客との売買価格の見直しや、諸条件の変更など売買契約に向けてコミュニケーションを取りたいのなら、「他の物件と比べて問い合わせ(閲覧)数が少ない」と分かる比較データやデータの見方を記載した方が顧客も分かりやすい。併せて検討を見送った方の声なども報告をした方が現在の販売状況を顧みるのに良い。ただ、これは諸刃の剣でもあり報告を見て怒り出す顧客もいる。そのため、客観的な視点を装ってデータや検討を見送った声を記載するか、報告は簡単にとどめて売買価格の見直しに関しては直接会ってか電話で話をするなど、顧客によって対応を変えた方が良いかもしれない。皆さん次第だ。
筆者は活動報告にスーモの物件詳細ページのPV数と、エリア平均(物件種別×行政区)のPV数を併記している。売買契約成立に向けて平均数に近いPV数が欲しいので価格や条件を見直しましょうと提案ができる。また、マイリスト登録数も重要と考えて4~5件は入らないと購入する動きが来ないと顧客に伝えるために参考指標として記載している。実際、平均PV数近くなったり、マイリストが10人となっても購入検討者が現れないこともあるが、私はこう思う、と感覚で話をするよりもデータで話をした方が説得力はあるのでそうしている。逆にPV数が平均より高く、マイリストも十分なら売却活動は問題ないと考えてそう報告している。
今後、売却活動がどのように進捗しているかを見せるAIを利用した活動報告もできるようになるだろうが、活動の成果(=売買契約成立)に向けての活動報告であるので、活動報告を有効活用し取り組む意識が重要なことは変わらないだろう。
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【プロフィール】
はたなか・おさむ 不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。






















