不動産取引現場での意外な誤解 売買編256 養子・婿養子には両方の親の相続権がある?
住宅新報 2026年2月3日 号 13面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.少し古い話になるようですが、養子や婿養子に相続権はあるのでしょうか。
A.養子については、養親との間に養子縁組をしている限り、相続権はありますが(民法809条)、「婿養子」は本来は、夫となるべき者が妻となるべき者の父母と養子縁組をして養子の地位を取得してから妻となるべき者と婚姻することをいいますので、そのような本来の婿養子であれば当然に養子としての相続権を有します。したがって、単に妻の氏を称するだけの婿養子は、妻の両親の財産を相続する権利はありません。
Q.ということは、本来の養子・婿養子であれば養親・実親両方の相続権があるということですね。
A.そのとおりです。養子も婿養子も「子」であることは変わらないので、実子と同じように相続権があります。その点について民法は、「養子は、縁組の日から、嫡出子の身分を取得する」と定めており(民法809条)原則として「養親の氏」を称すると定めていますので(民法810条本文)、条文上も養子は養親と実親の両方の相続権をもつことになります。
つまり、子は、配偶者とともに第1順位の相続人で(民法887条、890条)、男・女、成年・未成年(胎児を含む=民法886条)、同居・別居、実子・養子を問わず、他家に嫁いでも、外国人と結婚をし国籍が親と違っても相続人ということです。(法例26条、27条)
Q.その上で、離婚した妻との子と養子の相続権について聞きたいのですが。
A.離婚をしても、その妻との間の子については、妻がその離婚後の親権者であったとしても、夫の子であることには変わりはありませんので、夫の子としての相続権を有します。
養子については、仮にそれが後妻の連れ後であったとしても、養子縁組さえすれば実子と同じ相続権をもちますし、更に、それが離縁調停中または離縁訴訟中の養子であったとしても、離縁調停が成立しまたは離縁訴訟の判決が確定するまでは親子関係がありますので、相続人ということになります。したがって、その養子にどうしても相続させたくない事情があるのであれば、あらかじめ「遺言」で養子以外の者に相続させるとか、養子を廃除する「遺言」をしておく方法が考えられます(民法893条)。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















