彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇211 「リノベる」が新仲介会社 〝暮らし〟を再定義 「ハンドル」始動
住宅新報 2026年2月3日 号 13面
連載: 彼方の空
新築住宅の高騰で中古住宅検討者が増えるなか、「リノベる」(東京・青山、山下智弘社長)は仲介機能を担う子会社「ハンドル」を設立し、昨年12月営業を開始した。住む人の想いや暮らしを再定義し、画一的ではない住まいの価値をつくり続けてきたが、その価値を中古流通の場でもユーザーに適切に伝え届ける新たな挑戦だ。従来の不動産部を独立させた格好だが、社長に就任した上出昇氏の「中古住宅がもつ本来の価値がもっと正確に、もっと魅力的に伝わる市場をつくりたい」という言葉が光る。抱負を聞いた。
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――営業社員(約10人)は全員が宅建士はもちろん、リノベーションコーディネーターの資格をもっている。
「リノベーションコーディネーターはプロとしての〝暮らしの編集者〟を養成する目的でリノベーション協議会が22年から認定している資格制度。リノベーションのノウハウはもちろん建築、設計、金融、税制などの知識を併せもつスペシャリスト集団だ」
――これからの住宅仲介会社のあるべき姿勢を感じるが、そもそも「リノベる」が標榜する〝自分らしい暮らし〟とはなにか。
「通勤に便利とか、商業施設が近くにあるなどの条件は誰もが望むもの。そういう価値とは別に〝自分〟を感じながら暮らすこと、そのための感性が磨かれ、一人でいても心が癒されるような良質な暮らしのことだと考えている」
――2010年に創設された「リノベる」が、今や従業員260人、パートナー企業約500社、営業拠点(ショールーム)はFC店舗含め全国に約40拠点を擁するまでに成長した要因は。
「近年では新築住宅の価格高騰で中古市場が注目されていることもあるが、成長の大きなきっかけとなったのは、やはりコロナ禍で誰もが〝自分の暮らし〟について考え始めたことだ。ハンドルの前身である不動産部が発足したのもコロナ下の20年9月だ」
――ハンドルという社名の由来は。
「Hand(ハンド)は住まいを手作りするという意味、Rにはリノベーション、Real Estate(不動産)、Reborn(再生)などの意味が込められている。まるで〝手に取る〟ように暮らしのイメージが湧いてくる間取りやデザインを住む人に手渡すという想いを込めた」
――〝リノベる〟が培ってきたデザイン思想とは。
「ハンドルの使命はリノベーションによって中古住宅の本来の価値を引き出し、継承していくことで〝良質な中古流通のハブになる〟こと。そういう〝かしこく素敵な暮らし〟という感性を生む力がデザインにはあるという思想だ」
――ユーザーもそうした中古物件に対するリテラシーが高まっていると。
「自分らしい暮らしというものを最初から明確に抱いて中古物件を探す人は少ない。しかし、私どもとの対話を繰り返す中で徐々に自分が望んでいる暮らしのイメージが湧いてくる。我々はそのためのヒントを提供していく」
――新築よりも安いということだけが魅力の中古市場に未来はない。中古を自分の感性でリノベーションすることで、新築よりも高い価値を生み出せることに気付いたユーザーが育ってこそ中古市場が拡大・発展していく。
「まさにその通りで、我々が目指す賢い中古流通がそこにある。住む人の暮らしや想いに寄り添い、画一的ではない住まいの価値と魅力を誠実にユーザーに届けるプロフェッショナル集団を目指す覚悟だ」
――現代社会は自分らしい暮らしにこだわる人たちが増えている。画一的で大量の住戸を販売する新築分譲マンション市場がそうしたニーズに応えるのは難しい。
「我々も中古物件という土台の上に新たな価値を創造していくという難しさを抱えている。しかし、だからこそ面白くやりがいがあるし、プロフェッショナル集団としての誇りがある」
























