古民家宿の物語 日本全国リノベーション 125 木村邸 とりや (下) 宿は地域とつながり、地域は宿にひらかれる
住宅新報 2026年2月3日 号 13面

キッチンは特に思い入れが高く、快適なスペースになった
グループ旅行に人気
「木村邸とりや」は、一日一組限定・最大12名まで宿泊可能な一棟貸しの宿だ。現在の運営は、オーナー自身を中心に、無理をせず、丁寧に向き合うことを大切にしている。
宿泊者の多くは日本人で、ファミリー層や友人グループが中心だ。夏場には特に利用が増え、庭でのバーベキューや焚き火を楽しむ姿も見られる。離れて暮らす家族が集まり、数日間ともに過ごす「中継地点」として使われるケースもあり、「まるで実家に帰ってきたみたい」と語るゲストもいるという。
食事スタイルを選べる
食事のスタイルも自由度が高い。夕食は持ち込みや自炊、近隣で調達した食材を使ったバーベキューなど、それぞれの過ごし方に委ねられている。一方で、朝食のみオーナーが用意することも可能で、地元の野菜や魚を取り入れた献立が好評だ。ホテルのような一律のサービスではなく、「どう使うかはゲスト次第」という余白が、この宿の魅力。
地域に開かれている
更に「とりや」は地域とつながる拠点としての役割も少しずつ広げている。隣接するお寺の協力を得て境内の一角を宿泊者用の駐車場として活用しており、まちぐるみでの受け入れ体制が整っているのが印象的だ。こうした関係性を背景に、敷地内や周辺ではマルシェやワークショップも不定期で開催。朝市、草木染め、料理教室など地域の人々と旅人が交わる機会が生まれ、交流を通じて宿の存在が少しずつ町に浸透している。
また、建物内には小さなセレクトショップも併設されており、地元加工品、クラフト作品などが並ぶ。
宿泊者だけでなく、観光で訪れた人や地域住民も気軽に立ち寄り「泊まる」だけでなく、「知る」「買う」「出会う」場としての広がりを見せている。こうした活動が地域での認知度を高め、宿のファンづくりにもつながっている。
観光というよりも「暮らすように滞在する」ことが自然にできる場所として、そして、地域の営みとゆるやかにつながる場として、「木村邸とりや」は三浦の中で独自の存在感を育みつつある。
宿=木村邸 とりや
住所=神奈川県三浦市南下浦町毘沙門
ウリ=のどかな農村部で、大人数でゆったり滞在可能






















