第92回「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 入居前の留意点
住宅新報 2026年1月27日 号 14面

前回は筆者の入居前点検が甘かったためお客様の解約につながった事例を紹介した。そのことがあって以後、筆者は入居前点検を入念に行うようにしている。今回はどんな点について点検しているかをいくつかお伝えしたい。
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まずは床・壁・天井の汚れや傷がないかを全体的に確認する。多くの場合は原状回復が終わっていればほぼ問題ないはずであるが見落としがある場合もあり、その際はその汚れや傷の程度によっては急ぎ入居までの間に修復する。例えばそれが壁のビニールクロスの汚れであればDIYでできる布に洗剤を付けてこすりながら消す簡易な方法を試すこともある。それで落ちない場合は業者を呼んでクロス洗浄で落とす。クロス洗浄で落ちない場合や修復が難しい傷の場合はクロス貼り替えで対応する。その際に業者を呼んでその面の貼り替えをすることもあるが、傷の具合によって部分補修にすることもある。最近もクロスの部分補修をする機会があったが、元の傷を探してもわからないほどに修復されていた。床フローリングの傷の修復についても、貼り替えではなく部分補修を行うことで対処できることが多い。
水回りの点検では主に水の流れや水漏れについて確認するが、特に蛇口を閉めても水が出ることを見逃すと入居者からのクレームにつながることが多い。これはパッキンの劣化が原因なのですぐにパッキン交換を行う。トイレの水の流れが悪い場合や、レバーが止まっても水がちょろちょろと出て止まらない場合はタンク内のレバーや浮き球、ボールタップが劣化していることが多い。これらは自分でできないこともないが、部品がセットになっており点検も含めて水道屋を手配して確実に直してもらった方がよい。
設備の点検ではやはりエアコンが重要である。動作確認を行う際にリモコンが正常に作動しているかどうかも併せて確認し、本体の製造年も改めて確認する。エアコンはメーカーの部品保有期間が約10年なので、買い替えのタイミングは10年を目安にするとよい。もちろん使用頻度やメンテナンスによってこれが延びたり短くなったりする。特にエアコンフィルターの清掃は利用シーズンにおいては少なくとも月1回は行うよう入居者に伝えることが重要である。ちなみにお客様は内見時にエアコンの製造年をご覧になることが多い。UR都市機構の賃貸物件では、エアコン点検時に点検年月の記載のある点検済みのシールをエアコン本体に貼っている。これはお客様の安心感につながる。
入居前点検を丁寧に行うことは無用なクレームを防ぐことにつながるので、ここは手を抜かずしっかりと行いたいものである。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















