彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇210 定借協会が情報発信に力 定借の今日的意義 大木祐悟代表に聞く
住宅新報 2026年1月27日 号 13面
連載: 彼方の空
昨年は大手ディベロッパーによる定期借地権付きマンションの販売が増え、改めて定期借地権への関心が高まっている。一般社団法人全国定期借地借家協会代表理事の大木祐悟氏は「今こそ定借の正しい知見を広める好機」と語る。同協会は今年から総会報告のビデオ配信、各支部の活動予定など会員への情報発信を強化している。代表就任3年目となる大木祐悟氏に今後の活動方針と定期借地権制度の今日的意義を聞いた。
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――近年、大手デベによる定期借地権マンション事業が増えているが地域事業者による供給は。
「定期借地権が創設された当初は大手よりもむしろ地域事業者が中心だった。ゆえに地域業者であっても定期借地権のノウハウがあれば今後マンション事業に取り組むことは十分可能だ。ただし、管理を含むマンションについての知見が重要になる」
――同じ定借でも戸建てとマンションでは事情が異なるということか。
「借地期間満了時には建物を解体して更地にするのが原則だが、戸建て住宅の場合は借地人である個人(或いは法人)が自らの判断で建物を解体することができる。ところがマンションの場合は建物の解体にも区分所有者間の合意形成が必要となる。区分所有法にはこれまで建物の解体に関する規定がなかったので建物を解体するためには区分所有者全員の合意が必要だった。しかし4月から施行される改正区分所有法では<建物取壊し決議>の制度が誕生するので、今後は5分の4決議で解体が可能となる。それでも合意形成のハードルが高い状況であることに変わりはない。そこでマンションの場合は原状回復を原則としつつも、建物が良好な状態で管理されているときは地主が無償譲渡を選択できるスキームも可能にしておくことが重要と思われる」
――4月から改正区分所有法が施行されるがその実務的効果は。
「〝マンションは管理を買え〟とは以前から言われてきたが、マンション管理の質がマンションの評価に反映されることはこれまでは多くなかったと思う。だが改正法によりマンション管理はやりやすくなるし、その運営効果が期待される。新築マンションの供給が減る中、既存ストックの重要性は増してくるので、中古マンションを評価するうえで管理の質が重視されるようになることはいいことだ」
――今年3年目を迎える全国定借協会だが、これまでの活動を通じて感じていることは。
「定借による土地活用は手続きが面倒臭いと考えている人が少なくないことを実感している。空き家が増加している中、所有ではなく利用価値に着目する定期借地権を今こそ正しい知見のもとに普及させていくことがこれからの日本の不動産活用には必要だと考えている」
――定借を活用した空き家の再生にはどのような方法が。
「状態のいい空き家であれば、建物をファミリー世帯などに売却し、土地は定期借地で貸すという手法が考えられる。建築費の上昇による価格高騰で、持ち家を取得することが難しくなりつつある今、実需層にとっては住宅取得の有効な方法になる。また、地方の空き家を定借で取得しセカンドハウスとして利用しながら大規模災害時には避難先とすることも考えられる」
――今年から総会報告会のビデオ配信など情報発信を強化しているが。
「定期借地権の今日的意義を世の中に理解してもらうためには、地域業者に定期借地権の正しい知見と活用方法を広めていくことが何よりも重要だ。空き家再生はその一つに過ぎない。会員間の情報交流を活発化させ、定借が地域社会に浸透していくようにしたい。昨年は名古屋、大阪、関東エリアで支部をつくることができた。今年は活動の輪を更に広げ、全国定借協会という名に恥じない集団を目指す」
























