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社説 「AI時代」の賃貸仲介 選ばれる店へ3つの可視化

住宅新報 2026年1月27日 号 2面

連載: 社説「住宅新報の提言」

政策
社説 「AI時代」の賃貸仲介 選ばれる店へ3つの可視化

 AI時代に入り、賃貸仲介は正念場を迎える。業界横断のDX実態調査や社内外の実務アンケートを見ると、全体として著しく遅れてはいないが導入・活用に濃淡が残る。小規模や売買に比べ、賃貸仲介はデジタル手続きが進む一方、生成AI活用は限定的という〝ゆらぎ〟が併存する。不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の2025年調査でも、住まい探しは「広く比べ、オンラインで進める」傾向が強まり、来店前に写真点数・口コミで会社を絞り、非対面の説明・契約も容認されやすい。判断材料は図面外のハザード・治安・暮らしやすさ・省エネへ広がっている。ここに運用が追いつかなければ選ばれにくい。「時間・開示・内容」の3つの可視化に絞って最小セットを示す。

 1つ目は時間。複数社・複数物件の同時進行が前提の今、初動の速さが選別の分岐点になりやすい。社内の〝約束の時間〟を定めて掲示し、週次に中央値で確認→見直す。例えば「初回連絡=当日中(営業時間内は1~2時間)」「内見確定=1~2営業日」「内見後の申込案内=1~3営業日」「申込後の審査開始=当日~翌営業日」を目安とする。いずれも義務ではなく体制・商圏で調整すればよい。大切なのは、約束を定め、伝え、記録し、直す循環である。

 2つ目は開示だ。非対面の受容拡大の一方、個人情報と翻訳への不安も同時進行する。信頼とクレーム抑止の土台整備として、まず外向けに「当店では案内文の下書き・翻訳・書類の文字読み取りに自動ツールを使う場合があります。保存期間は〇年、社外送信は□の範囲。処理ごとに同意を選べ、人的対応も可能」と事前告知し、同意欄を分ける。社内には「AIは下書き・要約・整理の補助まで、最終確認と説明は人」と線引きを規程化し、原文照合と承認の記録を徹底。非対面が難しい相手にはFAX・写真返送・対面を併走させ、誰も取り残さない。

 3つ目は内容の可視化。来店前に判断できる材料を1通(1枚)で先出しする。(1)写真点数を確保し差分は朱書き、(2)ハザード・治安・生活利便・通信速度など暮らしの実感情報を簡潔に、(3)省エネ性能と光熱費の目安を添える――いずれもRSCが示す重視点に合う。店頭では同骨格の紙1枚を台本とし、鍵の所在一覧を毎朝更新。申込導線はQR・短縮URL・紙の3本立てで、どれかが必ず機能する状態に。写真が追いつかないときは既存写真に差異の朱書きで正確さを担保する。

 要するに、約束の時間を決めて運用し、AIと非対面の使い方を先に説明して同意を得て、図面の外側まで情報を整える。過度な投資は不要だ。今日の台本と1枚の案内、そして毎週の見直しから始める。AIは補助の道具、決めるのは人。時間・開示・内容の3つを〝見える運用〟に変えることが、繁忙期の成約率と業務効率を同時に高める近道だ。

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