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不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編92 ~畑中学取引実践 ポイント~ 非居住者の売買で注意すべき点 「所得税源泉徴収ポイント」

住宅新報 2026年1月13日 号 12面

連載: ~畑中学 取引実践ポイント~ 不動産ビジネス塾

総合
不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編92 ~畑中学取引実践 ポイント~ 非居住者の売買で注意すべき点 「所得税源泉徴収ポイント」

 不動産の売主が日本を生活の拠点としていない場合、原則、買主が売主の所得税等を代わりに源泉徴収し納付することになる。その際、気をつけるべき実務上の注意点は(1)売買契約の条件、(2)自己資金での納税額対応の確認、(3)売主の振込手続き対応の可否の3点となる。今回はこの3点について触れてみたい。

 一般的に不動産売買によって売主に生じる税金は、売主で納税手続きを取り、買主は何もしないで構わない。当然の話である。しかし、売主が外国人、日本人を問わず日本に1年以上住んでいないなど生活の拠点がないと判断される場合は、税務上は非居住者という扱いになり、なぜか買主が不動産の売買代金の10.21%の所得税等を納めることが原則となる。これを源泉徴収と言い、当然その納税額分は不動産の売買代金から差し引き支払うことになる。

 不動産の売買代金が1億円以下、かつ購入した個人が自己または親族居住用とするためなら源泉徴収は不要となるが法人として、もしくは投資や事業物件として、また1億円超の売買価格での購入ならば、「これは源泉徴収になるな」と当たりをつけ、税理士や税務署に確認し、該当するなら一連の源泉徴収の手続きをしていくことになる。

 そこで冒頭の実務上の注意点となる。源泉徴収する納税額分は売買代金から差し引くので、その内容とした(1)売買契約の条件としなければならない。そうしないと買主は売買代金を支払った上に、その10.21%の所得税等を加えて支払わなければならなくなる。買主は「何でそうなるの?」とクレームになるはずだ。それを避けるために、売買代金から差し引く、清算をする売買契約内容にしていこう。

 続いては(2)自己資金での納税額対応の確認。源泉徴収税額を納付するタイミングは、決済をした翌月の10日までが原則だが、買主がローンを組む場合は稀(まれ)に金融機関から融資実行時までに納付することを条件とされることがある。融資が実行される前なので当然、融資には含めることができず、自己資金での対応が必要となる。そのためあらかじめ買主と利用予定の金融機関との間で資金計画をすり合わせておいた方が無難になる。売買契約前にしておいた方がトラブルを避けられて良いだろう。

 最後は売買代金を買主が一度ローンで支払った後に、源泉徴収税額分を売主から戻してもらう場合だが、(3)売主の源泉徴収税額分の振込手続き対応ができるかどうかの確認が必要となる。ネット等での振込手続きが可能か、決済場所の近くに支店等があり対応できるのか確認をしておいた方が良いだろう。逆に売主が源泉徴収税額分を戻せないなら、他の方法を検討するしかないからだ。

   ◇  ◆  ◇

【プロフィール】

 はたなか・おさむ 不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。

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