彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇208 70周年迎える北澤商事 社長に北澤龍一氏 地域貢献、更に深耕
住宅新報 2026年1月13日 号 11面
連載: 彼方の空
北澤商事(東京・足立区、北澤敏博社長)は今年4月、創業70周年を迎える。同時に北澤龍一取締役が新社長に昇格する。龍一氏は現在37歳。敏博氏の長男で創業者である北澤艶子会長の孫。老舗の不動産会社として地元の人たちから長く愛され続けてきた北澤商事を引き継ぐ3代目社長に意気込みを聞いた。
――70年も続いてきた会社を引き継ぐプレッシャーは。
「自分がやるしかないという覚悟はできたが、プレッシャーはある」
――小学校から高校まで野球をやっていたとか。社長職は野球でいえば監督。どんなチーム作りを。
「超トップダウンのような会社にはしたくない。ボトムアップというか、サイドの人たちが押し上げてくれる形が理想。4店舗の各支店長は野球でいえばコーチ。彼らが自由に力を発揮できるように権限を与え、現場からの意見がどしどし上がってくる組織にしていきたい」
――3代目社長としての任務は。
「我が社はこれまでも地域と共に歩んできたし、これからもそれは変わらない。地域の人たちに必要と思われる存在、ずっと続いていってほしいと思われる会社にしていくための努力を怠らず、一歩一歩着実に歩んでいく」
――会長は100億円企業ではなく100年企業というミッションを掲げてきた。
「会社は売り上げを増やすよりも継続することが大事という会長の考え方には全く同感だ。ただ、100という数字自体に意味があるわけではない。100年続けばOKということでもなく、それまでに何が出来たのかが問われることになる。3代目の役割は北澤商事の伝統を引き継ぎ、さらに深く地域貢献に取り組んでいくことだ」
――事業を継続していくうえでの最大の課題は。
「管理会社はオーナーの世代交代時に引き続き管理を任せてもらえるかが最大の鍵となる」
――どうすれば。
「たくさんある管理会社の中で北澤商事の管理がいかに秀でているか、オーナーに『あなたの物件を管理する会社として北澤商事がベストである』ことを証明していくしかない」
――どうやって。
「オーナーと日頃からコミュニケーションをとっていくことにつきる。コミュニケーションがないと不信感につながっていく。その点、会長はどのオーナーともお付き合いがうまく天才的だ」
――そうした会長のやり方を見習うと。
「見習いたいが、今は会長の時代とは違って地域のコミュニティーが薄れていく一方だ。町会は年配者ばかりで若い人がいない。地域のつながりが弱くなっている」
――疲弊していく地域を再生できるのが地元に根を張る不動産会社では。
「その通りだ。地域コミュニティーの一環としてオーナーと入居者とがいいつながりをもっている賃貸住宅をつくっていきたい。しかし、現実は厳しい」
――なぜか。
「今はオーナーと入居者の距離が遠すぎる。入居者との交流を願っているオーナーも極めて少ない。そこを改善していくのが管理会社の務めだ」
――人手不足が続く。安定的に人材を確保する方法は。
「我が社は数年前から就職活動をしている学生たちに会社を見に来てもらい、肌感覚というかフィーリングで我が社に興味をもった学生に入社してもらうようにしている」
――地域貢献の深化とは。
「一言でいえば〝人と人のつながり〟を大切にすること。どうすれば人と人が楽しく接することができる街になるのか。地域の気軽な交流の場になることを願って21年に開設した〝ブックカフェ・ハレキタザワ〟は利用方法が多様化するなど大成功している。会長もカフェでのイベントにはよく顔を出して地域の人たちとの交流を大切にしている。それが地域の活性化につながり、コミュニティの輪を広げていくことになる」
























