不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編91 ~畑中学 取引実践ポイント~ 宅建士、時が経てばキレイに忘れる 「用途地域の用途制限」
住宅新報 2026年1月6日 号 18面

特定の用途で利用するために不動産を購入したいという相談がある。その場合は必ず用途地域における用途制限を調べた上で、購入検討者の希望どおりの利用ができるかを回答する。希望する利用用途が住宅、もしくは兼用住宅以外の場合は利用できない可能性があるので、確認作業が重要となるからだ。
例えば住宅を購入し居酒屋(店舗)として利用したいというのならどうだろうか。第一種住居地域なら床面積次第で利用可能だが、第一種低層住居専用地域なら利用不可(特定行政庁の許可以外)となる。この確認をせずに「居酒屋さん楽しみですね。遊びにお伺いしますね」と軽口叩きながら売買契約を締結したらアウト。後日になって居酒屋を開業できなかったとクレームになるのは間違いないだろう。そうならないように用途制限を確認し回答していこう。
用途制限は宅建士の試験勉強では覚えておくところ。宅建士を取り立ての方はミスが少ない箇所だが、数年も経つとキレイさっぱり忘れるところでもある。残念ながら筆者もよく忘れている。2年前に賃貸用住宅用地として土地を現金で購入されたお客さんから、しばらく賃貸住宅の建設はしないのでそれまでレンタル倉庫で回しておきたいと顧客宅で相談を受けたことがある。その場は「いいですね」と相槌打って流してしまったが、事務所に戻ってから「あれっ、一中高で倉庫はできたっけ」と奇跡的に思い出し用途制限を確認。できないと分かってすぐお客さんに「先ほどの倉庫の話ですが、無理だと思います」とアドバイスをしたことがある。
相談を受けたその場で回答すれば「さすがプロ」だったかもと思い悔やんだが、お客さんが調べてできないと分かり筆者から何のアドバイスもなかったと思われるより何倍もマシなので良しとした。住宅を扱うのがメインの方は普段の取引で用途制限を確認する習慣がないため、住宅及び兼用住宅以外は確認する、と意識しておいた方が良いだろう。
兼用住宅とは住宅とそれ以外の用途が一つの建物内にある住宅だ。建物内部で行き来ができることなど条件があるが、兼用住宅での店舗事務所なら用途制限をクリアできることも多い。第一種低層住居専用地域内ではカフェの営業はできないが、兼用住宅ならカフェスペースが建物全体の延床面積の2分の1以下であり、かつ50m2以下なら可能となる。
一方利用できない用途もあり、用途地域の主旨にそぐわないものはNGとなる。住居系地域は静かな住環境が目的のため、たとえ兼用住宅でも居酒屋などは許可を得にくい。13種類の用途地域の主旨と利用用途は合うのかどうかを見極めて利用の可否は判断していきたい。
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【プロフィール】
はたなか・おさむ 不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。






















