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プレミアム会員限定「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第90回 エージェントは家ではなくサービスを売る

総合
「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第90回 エージェントは家ではなくサービスを売る

 前回に続き筆者が取得したNAR(全米リアルター協会)が監修するABR(認定バイヤーズエージェント資格)についてである。前回この資格が優れものであると紹介したが、その理由として資格を取得するために受講する講座が我が国の不動産業でも通用する部分が多く、他に類似の講座を見ないからである。内容は売買仲介で買い手側に付いた不動産エージェントがどのようにお客様と接するのか、また交渉のやり方などを理解するというもの。米国では家族構成の変化により7年~10年に1度家を買い替える。

 したがって、買い手がいつかは売り手になるためリピート客をつかむことができる。この点は常に新規客を追っている我が国の売買仲介との違いであろう。ただし、買い手の心理は万国共通なので受講の意味はある。

 ABRではファーストミーティングが最も重要と教えている。オンラインであってもプロらしい服装をし、自分のセールスポイントを伝え、自分が提供できる価値・サービスを伝える。また、買い手が何を大切にしているのかを知ると同時に売買全体の流れや不動産の法律についても伝えるという。

 服装について講師のマーク北林氏は「大きな買い物に携わる者としてふさわしい服装をすべきだ」と説く。昨今、我が国においてもホワイトカラーの服装のカジュアル化が進んでいる。筆者は以前接した賃貸住宅の仲介担当者の服装がTシャツにジーンズであったため驚いたことがある。賃貸で若いお客様相手なら問題ないのかもしれないが、売買で年齢層の高いお客様の場合はそれで信頼を得るのは難しいだろう。

 次にお客様のニーズを引き出すために単純なYES・NOではない質問をすることを教える。例えば「どのくらい家を探しているのか」、「他のエージェントから家を見せてもらったか」、「なぜ買わなかったのか」、「どんな家を求めているのか」など。そしてお客様への課題として1枚の紙を渡す。中央に線が引いてあり、左側には「絶対必要なもの」を、右側には「あればよいもの」を家族で相談しながら書いてもらうことで後悔の無い家の購入を手助けする。

 全体を通して「エージェントは家を売るのではなくサービスを売る。決めるのはお客様であってエージェントは家を紹介するのみ」ということを徹底的に教えられた。

 最後に面白かったのが、我が国でよくある「持ち家か賃貸か」という論争があるが、米国では家を持つことがアメリカンドリームでもあり、資産形成につながるためこのような論争はあまりないとのことである。

 北林氏によると米国ではコロナ前から現在までに住宅価格が40~50%値上がりしているとのこと。うらやましい限りである。

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【プロフィール】 

 おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。

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